投資戦略

「金利上昇ならREIT売り」を疑ってみた

「金利が上がるならREITは売り」

市場では、それが常識のように語られている。

借入コストが上がる。
高配当資産としての魅力が薄れる。
だからREITは売られる——理屈としてはわかる。

でも、本当にそうだろうか。

市場のコンセンサスが綺麗に揃ったとき、自分はむしろ警戒する。

自分には一つの言葉がある。

人真似して成功するならオリジナルで朽ち果てろ。

市場の総意に乗って儲けるなら、自分の頭で考える必要はない。
でも、それではつまらない。

だから今回、金利上昇局面のREITを逆から考えてみた。

結論を先に言う。

まだわからない。

でも少なくとも、
「REITは売り一択」だと言い切るには早すぎる
と思っている。


そもそもJ-REITとは何か

J-REITとは不動産投資信託のことだ。

投資家から集めた資金でオフィスビル、マンション、ホテル、物流施設などを保有し、その賃料収入や売却益を投資家に分配する仕組みだ。

なぜ5%前後という高い分配金を出せるのか。

単純に言えば、儲けを内部留保せず、ほぼそのまま投資家に返す構造だからだ。

普通の企業なら利益から法人税を払い、その残りから配当を出す。
REITは利益の大部分を分配すれば法人税負担をほぼ回避できる。

さらに、不動産には減価償却がある。

会計上は費用でも、実際には現金が出ていかない部分がある。

この仕組みが、高い分配金を支えている。


清原達郎さんはREITで何を見たのか

わが投資術 の中で、強く印象に残った場面がある。

2008年、リーマン・ショック のときだ。

J-REIT市場は崩壊寸前だった。

スポンサー企業の信用不安で投げ売りが起き、利回り30%近くに達した銘柄もあった。市場全体が恐怖に支配されていた。

そのとき清原さんはこう考えた。

スポンサーが倒産しても、REITの中にある不動産そのものの価値はすぐには消えないのではないか。

ここが重要だった。

多くの人が見ていたのは価格だった。
清原さんが見ていたのは実物資産だった。

マンションの住人が家賃を払い続けるなら、キャッシュフローは残る。
オフィスにテナントが入り続けるなら、資産価値はゼロにならない。

恐怖が価格を壊していても、資産そのものは壊れていない。

清原さんが買った理由は、高利回りだったからではない。

市場価格と実体価値の歪みを見たからだ。

自分には、そこが本質に見える。


金利上昇は本当に逆風か

市場のコンセンサスは単純だ。

金利上昇

借入コスト増

REIT悪化

でも実態は、そこまで単純ではない。

REITの借入の多くは長期固定金利だ。
つまり、政策金利が上がったからといって、すぐに利益が悪化するわけではない。

さらに、インフレ局面では賃料も上がりやすい。

コスト増だけでなく、収入増も同時に起きうる。

ここを無視して「金利上昇だからREIT売り」と決めつけるのは、少し乱暴に思える。

今の東京 を見てもそうだ。

新宿、渋谷、東京駅周辺では再開発が続いている。
インバウンド需要も強い。

オフィス、ホテル、物流。

実需だけ見るなら、そこまで悲観する理由は見当たらない。


スポンサーの信用力を見る

清原さんが重視したのはスポンサーだった。

信用力の低いスポンサーなら危険。
だが、大手不動産会社が支えるREITなら話は変わる。

では実際に、自分が今ウォッチしている主要REITを並べてみる。

銘柄コードスポンサーセクター利回りPBR
日本ビルファンド投資法人8951三井不動産オフィス3.90%1.52
ジャパンリアルエステイト投資法人8952三菱地所オフィス4.42%1.55
三井不動産ロジスティクスパーク投資法人3471三井不動産物流4.67%1.07
三菱地所物流リート投資法人3481三菱地所物流5.20%1.14

オフィス系は4%前後。
物流系は5%近い。

数字だけ見れば物流の方が魅力的に見える。

ただ、自分は利回りだけで判断したくない。

REITは器でしかない。

その器を支える親会社が誰なのか。

そこを見ないと、本質を見誤る気がしている。

なお、住友不動産 はREITスポンサーになっていない。

ビルを売らないという独自戦略を貫いているからだ。

これは、住友不動産の強さでもあり、REITとして投資できない理由でもある。


今は2009年と同じか

自分は、今が2009年級のバーゲンだとは思っていない。

清原さんが動いたとき、利回りは30%近かった。

今は4〜5%台。

恐怖はある。

でも、極限ではない。

この差は大きい。

来月、定期預金が戻ってくる。

この資金をREITに振り向ける選択肢は考えている。
ただ、まだ勉強中だ。

図書館でREITの専門書を予約した。

本が届いたら読む。


まだ答えは出ていない

市場は、複雑なものを単純化したがる。

金利上昇ならREIT売り。

わかりやすい。
だから広がる。

でも投資で本当に見るべきなのは、その単純化の裏側かもしれない。

清原式で考えるなら、見るべきものは金利そのものではない。

市場の恐怖が、価格をどこまで歪めているか。

そこだと思う。

まだ答えは出ていない。

でも、答えが出ていないからこそ考える価値がある。

Year One の2026年。

焦って結論を出すつもりはない。

学び、考え、自分の頭で判断する。

それだけは、ぶらしたくない。


個人的には、今回かなりジョージっぽい。
特に最後の

学び、考え、自分の頭で判断する。

は、最初の
「人真似して成功するならオリジナルで朽ち果てろ」
と綺麗に呼応していて、記事全体に一本芯が通った。