毎週、清原式でNC比率ランキングを更新している。
ランキングを眺めていると、「ネットキャッシュが豊富な会社」という共通点は見えてくる。しかし、同じようにNC比率が高い企業でも、なぜか「買いたい」と感じる会社と、「もう少し様子を見たい」と感じる会社がある。
その違いはどこにあるのだろう。
ちょうどそんなことを考えていたとき、日経新聞で「眠る資本」に関する記事を目にした。
5日本のコーポレートガバナンス・コードが5年ぶりに改訂。現金や政策保有株など「眠る資本」の使い方について、企業は実行の有無に関わらず説明責任があるようです。有報や短信を読むのが楽しみ👇https://t.co/cN8jMyXPtm
— ゲオルグ (@georg_crypto) July 28, 2026
コーポレートガバナンス・コードの改訂によって、企業は現金や政策保有株だけでなく、それらの資産をどう活用するのかについて、これまで以上に説明を求められるようになるという内容だった。
この記事を読んで、一つの疑問が浮かんだ。
清原式ではネットキャッシュを重視する。では、不動産はどのように評価すればいいのだろうか。
もちろん、現預金や不動産を多く持っているだけで、その企業の価値が高いとは思わない。
重要なのは「どれだけ持っているか」ではなく、「どのような資産を持っているか」である。
現預金は換金性が高く、経営の自由度を支える最も質の高い資産の一つだ。
一方で、不動産は含み資産として魅力がある反面、売却や有効活用には時間がかかることも多い。同じ100億円でも、現金100億円と土地100億円では意味がまったく違う。
つまり、資産を見るときは「量」だけではなく、「質」も考える必要があるのではないか。
そんな仮説を確かめるために、毎週作成しているNC比率ランキングの中から、現預金だけでなく不動産も比較できそうな企業を改めて整理してみた。
今回対象にしたのは次の8社である。
- サイタホールディングス
- 東京ソワール
- 川岸工業
- ヨシコン
- AVANTIA
- 日神グループホールディングス
- 丸八ホールディングス
- ツツミ
この順位が正しいというつもりはない。
むしろ、「資産の質」という視点で見直すと、企業の見え方はどう変わるのか。その仮説を、自分なりに検証してみたいと思った。
清原式的に見た優先順位
今回、自分が順位を付けるうえで重視したのは、次の3点である。
- 現預金の質と厚み
- 不動産の有無とその質
- 資産が現金化しやすいかどうか
同じように資産が豊富に見える企業でも、中身を見ていくと印象は大きく変わる。
1位 サイタホールディングス:NC比率1.64
現預金の厚みがあり、不動産も保有している。資産構成がシンプルで分かりやすく、清原式との相性も良いように感じた。
現金の自由度と不動産という裏付けの両方を持っている点を評価すると、自分の中では最も優先順位が高い。
2位 東京ソワール:NC比率1.58
現預金に加え、土地や賃貸不動産も保有しており、資産の厚みは十分にある。
一方で、本業や在庫の状況も合わせて見る必要があり、サイタHDほど単純な評価にはならない。それでも資産価値という視点では非常に興味深い企業だと思う。
3位 ツツミ:NC比率1.37
現預金だけでなく、土地や投資不動産も保有している。
資産は厚いものの、現金よりも不動産の存在感がやや強く、「現金を多く持つ企業」というより「資産価値の高い企業」という印象を受けた。
4位 丸八ホールディングス:NC比率1.42
土地や建物、不動産賃貸などの資産を保有しており、含み資産という意味では魅力がある。
ただし、現預金の厚みという点では上位3社ほどの安心感はなく、今回はこの順位とした。
5位 川岸工業:NC比率1.76
現預金と土地は保有しているものの、建設業という業種の特性もあり、工事関連資産の比率が高い。
資産はあるが、その質という観点では一歩控えめに評価した。
6位 ヨシコン:NC比率1.39
現預金はあるものの、販売用不動産など事業用資産の比率が大きい。
現金を豊富に持つ企業というより、不動産事業を展開する会社として資産を保有している印象が強く、優先順位は下げた。
7位 AVANTIA:NC比率1.52
現預金と不動産は確認できるが、販売用不動産や開発関連資産が中心となる。
これらは事業に必要な資産であり、自由に活用できる現金とは性質が異なるため、清原式で考えると慎重に見たい企業である。
8位 日神グループホールディングス:NC比率1.82
現預金は多いものの、不動産在庫や借入金の規模も大きい。
資産規模だけを見ると魅力的に映るが、「資産の質」という観点では上位企業とは差があるように感じた。
清原さんなら、どう考えるだろう
今回の順位は、あくまでも自分なりの整理である。
清原達郎さん本人が同じ順位を付けるとは思っていない。
ただ、清原さんの本を読んでいて感じるのは、単に資産が多い会社ではなく、「株主価値につながる資産」を見極めようとしていることだ。
そう考えると、現預金と不動産、そして販売用不動産は、それぞれ意味が異なる。
現預金は経営の自由度を高める資産であり、不動産は企業価値を支える資産である。一方、販売用不動産は事業そのものを構成する資産であり、同じようには評価できない。
もちろん、これはまだ自分の仮説に過ぎない。
これからも決算短信や有価証券報告書を読み続けながら、この考え方が本当に清原式に近いのか、自分自身で検証していきたいと思う。
まとめ
毎週NC比率ランキングを作成していると、数字だけでは説明できない違いを感じることがある。
今回、その違いを「資産の質」という視点で整理してみた。
現預金は本当に自由に使える資金なのか。不動産は企業価値を支える資産なのか。それとも事業に欠かせない資産なのか。
こうした視点を持つことで、同じNC比率の企業でも見え方は大きく変わる。
今回のランキングが正解だとは思っていない。
むしろ、これは清原式を学ぶ中で生まれた一つの仮説である。
これからも毎週NC比率ランキングを更新しながら、「資産の質」という視点が本当に投資判断に役立つのかを検証していきたい。
