ロシア軍事の研究者が、ウクライナ戦争を材料に「21世紀の戦争の正体」を解剖している本だ。
戦争史の本というより、「今の世界はどう壊れていくのか」という分析書に近い。
ちょっと頭を整理して、投資家の頭でも読めるように要約してみる👇
目次
この本の核心(3分要約)
結論から言うとこの本の主張はシンプルだ。
「戦争は終わっていない。むしろ形を変えて戻ってきた」
冷戦後の世界はこう思っていた。
- 過去の教訓から侵略戦争はもう起きない
- 経済が発展し、つながれば紛争は減る
- 共産主義は衰退、民主主義は拡大する
しかし、ウクライナ戦争でこの幻想が崩れた。
つまり、世界は冷戦後 → 戦争の休憩時間だった
という認識に近いことをこの本を読んで再確認した。
第二ロシア・ウクライナ戦争をめぐる5つの問い
著者は以下の5つの問いに答える形で本書を読み進める構成になっている。
① どれだけの犠牲がでているのか?
ロシア軍は戦死者のことを「貨物200」と呼ぶ。
1980年代のソ連のアフガニスタン侵攻中に生まれた隠語。
死体が腐敗しないように亜鉛性のコンテナの総重量が200キロ以下との定めたことと、国防相からの命令書が偶然にも「1984年度200号」だったことが由来している。
アフガニスタンでは、丸10年の戦争で15,000人以上の兵士が「貨物200」になった。
2025年に公表された米国防情報局(DIA)の報告によると、地上部隊だけで17万人以上が戦死したとの見積もりが掲載された。
3年強の戦争でアフガニスタン戦争の11倍以上に及ぶ戦死者が出た。
ちなみに、日本の陸上自衛隊の隊員は149,000人なので、丸ごと全滅しても足りないほどにロシア軍人はこの戦争で命を落としたことになる。
現在進行形の戦争における戦死者の特定は困難だか、10万人後半から20万人半ばの軍事が「貨物200」になった可能性が高い。
なぜ装備は格段に良くなっているのに戦死者が多い理由と一つとして、前線での医療設備が不十分だとの指摘がある。
負傷兵の救命率は負傷後1~2時間伊那に手当を受けるかで大きく左右される。
2023年春の時点での医療を受けるまでの平均時間が3.5時間かかり、潜在的に医療を受けれないで死亡したとの報告もある。
ゼレンスキーは「ウクライナ兵1人の犠牲で6倍ものロシア兵を死なせた」とのメッセージで軍や国民を鼓舞したい。
これに対して国民から「安心できる嘘よりも不安を呼ぶ真実を聞きたい」との声も上がっている。
2023年ニューヨークタイムズによると開戦後18ケ月でロシア軍の戦死者12万人、対するウクライナ軍の戦死者は7万人というのが米政府の評価。
②なぜ、こうも長引いているのか?
ポイントはここ。
ロシアの視点では、ウクライナは「外国」ではない
ロシアの世界観
(帝国的な勢力圏)
ロシア
↓
周辺国は緩衝地帯
つまり
NATO拡大=ロシアの安全保障崩壊
この恐怖が侵攻の背景。
もちろん著者は侵略は侵略とはっきり書いている。
③ 戦時下のロシアはどのような状態にあるのか
モスクワやサクトペトロブルグなどにウクライナからのドローン攻撃を毎日、新聞で見聞きしているのロシア人は、なぜ、ロシア国民から、この戦争を止めようという動きが生まれてこないのか?
- プーチン政権による弾圧を恐れている
- プロパガンダに毒されているのか
もちろん、この2つは想定内だが、それ以外に著者はソフトな政治戦線運営術が展開されいると言う。
④ 世界の中でロシアの立ち位置はどう変化したんか?
ここが本の一番面白いところ。
現代戦争はWW2とは全く違う。
特徴は
- ドローン戦争
- 衛星情報
- SNS情報戦
- 民間技術の軍事化
つまり民間技術が戦争を変える
- スターリンク
- ドローン
- AI
全部戦争ツール。
⑤ 日本はどのように向きあえばいいのか?
著者の一番重い問題提起。
もし台湾や朝鮮半島で戦争が起きたら
日本はほぼ確実に巻き込まれる
なぜなら
- 米軍基地
- 補給拠点
- 地理的位置
つまり
日本は「安全地帯ではない」
投資家視点での読み方
この本は戦争本じゃなくて
マクロ分析の本
だと思うといい。
重要ポイントは3つ。
- 戦争は増える
- 長期戦になる
- 国家は軍事投資を増やす
つまり軍需産業は構造的成長になる。
日本で言うと
- 防衛
- 宇宙
- 通信
- 半導体
ここが地政学テーマ。
この本の本当のメッセージ
この本の底に流れてる思想はこれ。
「平和は前提ではない」
人間社会は
- 市場
- 国家
- 暴力
この三つで動いている。
株式市場と似てる。
誰もが合理的に動くわけじゃない。
