市場で一般的に見られる金・銀とドル円の相関は、予測可能なパターンに基づいています。
しかし、経済危機やインフレの高騰など、予期せぬ状況ではこのパターンが崩れることがあります。
この記事では、通常の相関が崩れ、予測不能な市場動向が生じる理由を詳しく解説します。
私たち投資家の投資判断に役立つよう、金・銀・ドル円の動向にどう対応すべきかを明らかにしていきます。
金・銀・ドル円の相関と逆相関の関係はなぜ起こるか
左からゴールド、シルバー、ドル円の4時間足で下降トレンドを形成している(下記図)
金と銀は通常、強い相関関係を持ち、ドル円とは逆相関の関係にあります。
これは、金と銀が安全資産としての特性を持ち、投資家が経済不安時にこれらの資産に資金を逃避させる傾向があるためです。
同時に、これらの資産は米ドル建てで取引されるため、金と銀の価格が上がると米ドルは下がり、ドル円も下落するという逆相関が発生します。
しかし、市場が予測できない特殊な状況では、通常の相関関係が崩れることもあります。
金銀とドル円の逆相関
以下の図は、金(青線)と米ドル(赤線)の逆相関を示すチャートです。
5年間の期間にわたって、金が上昇する際にドルが下落し、逆にドルが上昇する際には金が下落する様子を視覚化しています。
このような逆相関が市場で頻繁に見られることを示しています。
経済不安時には、金と銀が安全資産として買われるため、これらの資産が上昇する一方で、米ドルは売られドル円が下がります。
特に、ドル安になると金と銀の価格が上昇し、さらにこの逆相関が強調されます。
歴史的に見ても、金融危機や経済の混乱期には、この逆相関が顕著に現れることが多いです。
特殊な状況における相関
しかし、金と銀とドル円が同時に上昇する特殊なケースも存在します。
例えば、インフレ率が高騰している時期や、景気回復期においては、金と銀がインフレヘッジとして買われる一方で、リスク選好が高まるため、ドルも同時に強くなる場合があります。
この場合、通常の逆相関とは異なり、三者が同時に上昇するという現象が見られるのです。
ポイント
2020年のコロナ危機後のインフレ懸念が強まった時期に、金とドル円が同時に上昇した期間がありあります。
インフレ対策として金とドルが同時に買われる例を示すもので、特殊な相関の例です。
金と銀が売られ、ドル円も売られる場合
また、金と銀が同時に売られ、さらにドル円も下がるという特殊な状況も起こり得ます。
このケースは、深刻な金融危機や極端なリスクオフの状況で、投資家が一斉に保有資産を現金化し、市場全体で資金が流出するために発生します。
このような時期には、通常の相関や逆相関が崩れ、あらゆる資産が同時に売られることがあります。
このチャートは、金融危機時に通常の相関が崩れる状況を視覚的に確認できます。
まとめ
金・銀とドル円の相関関係は、経済状況によって大きく左右されます。
通常は金銀が上昇すればドル円は下落しますが、インフレや景気回復期にはこの関係が逆転することもあります。
投資家はこうした市場の動きを理解し、特に異常な状況では慎重な判断が求められます。
相関が崩れる局面は一時的であることが多く、市場の混乱が収まれば再び通常のパターンに戻ることが期待されます。