USスチール買収という歴史的挑戦に挑んだ日本製鉄。
その裏には、橋本英二会長の揺るぎない信念と、50年に一度のチャンスを掴むという強い意志がありました。
米国政治の波乱も読み切った上で、なぜ勝負に出たのか。
その核心に迫ります。
目次
揉めるのはわかっていた――「千載一遇のチャンス」に賭ける理由
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橋本英二会長の決断
日本製鉄が米国の鉄鋼大手・USスチール買収を発表したのは2023年12月のこと。
その背景には、「これは50年待っても出てこない千載一遇のチャンスだ」という橋本会長の強い決断がありました。
USスチールは米製造業の象徴とも言える企業であり、米国全土で高い影響力を持つ存在。
しかし、全米鉄鋼労組(USW)が一貫して反対姿勢を示し、
バイデン大統領は「米国内で所有され続けることが不可欠」と声明を出すなど、政治リスクも高まっています。
それでも橋本会長は、この挑戦に臨んだ理由について次のように語りました。
「揉めるのはわかっていたけれど、だからこそ勝負に出た」
経済がグローバル化し、競争が激化する中での勝負――その覚悟がこの言葉に表れています。
CFIUS審査の正念場
現在、買収計画は米国の対米外国投資委員会(CFIUS)の審査中です。
審査の期限は2024年12月23日。
この結果次第では、バイデン大統領が買収阻止に動く可能性も示唆されています。
また、トランプ氏も「私なら即座に阻止する」と発言し、
2024年の大統領選を前に政治的な争点に発展する可能性が高まっています。
それでも、橋本会長はこの一大決断を揺るがせることなく、
日本製鉄の未来を見据えています。
なぜUSスチールなのか?橋本会長の戦略と背景
企業の成長には「グローバル展開」が不可欠
1979年に日鉄(現・日本製鉄)へ入社した橋本英二会長は、
長いキャリアの中で企業が「成長し続けるためには挑戦が必要」だと確信しました。
特に、国内市場だけでは限界がある中、海外展開を進めなければ企業の未来はない――
この信念が、今回のUSスチール買収に繋がっています。
2019年に社長に就任してから、橋本会長は改革を進めました。
過去最大の赤字からV字回復
2020年3月期には、過去最大の4300億円の最終赤字を記録しましたが、
その後の経営改革によって、2023年3月期には2年連続で過去最高益を達成。
日本製鉄は見事なV字回復を遂げました。
この実績があったからこそ、巨額買収という次のステージへの挑戦が可能になったのです。
橋本会長の原点――貧しかった少年時代と挑戦の意義
少年時代の経験が育んだ挑戦心
橋本会長は自身の少年時代についても触れ、
「貧しい生活の中で、成長することの大切さを学んだ」と語っています。
こうした経験が彼の経営者としての強い挑戦心を生み、
企業の成長に対しても、常に前向きな姿勢を貫いてきたのです。
日本製鉄という歴史ある企業を背負い、「次世代に繋ぐために成長し続ける」
その責任感が、今回のUSスチール買収という大勝負に結実しました。
まとめ:千載一遇のチャンスを掴む「勇気」と「覚悟」
橋本英二会長が語った「50年待っても出てこないチャンス」という言葉には、
揺るぎない「勇気」と「覚悟」が詰まっています。
米国政治の波乱、全米鉄鋼労組の反発、そして審査の正念場――
それらすべてを理解した上で挑んだ今回のUSスチール買収。
企業が成長し続けるためには、時に大きなリスクを取ることが必要です。
挑戦しない企業に未来はない。だからこそ、勝負に出る――。
橋本会長の言葉を胸に、今後の日本製鉄の動向を見守りたいと思います。
用語解説
- USスチール:米国最大手の鉄鋼メーカーの一つで、製造業の象徴的存在。
- USW(全米鉄鋼労組):米国鉄鋼業界の労働組合。約120万人の組合員が所属。
- CFIUS(対米外国投資委員会):米国で外国企業による投資が安全保障に与える影響を審査する政府機関。
日本製鉄とUSスチールの未来を繋ぐこの挑戦が、どのような結果を迎えるのか。
不利な状況でも果敢にチャレンジするサムライ魂に惚れました。
3,000円で買い指値入れたら見事に刺さりました。
12月23日の審査結果の如何に関わらず、日鉄の株を買い足す予定です。
最後に、橋本会長が、この挑戦に臨んだ理由をもう一度、
「揉めるのはわかっていたけれど、だからこそ勝負に出た」
頑張れ日鉄応援してます!