株価が投資家に与える印象とは?
株価が2000円前後だと、個人投資家にとって手が届きやすいと感じることが多いです。
しかし、一部の日本企業は一株あたりの価格を非常に高く設定し、そのまま維持していることがあります。
この記事では、その理由を掘り下げ、株価が高い企業の戦略や意図、そして投資家心理を紐解いていきます。
目次
株価が高い理由とその裏にある企業戦略:なぜ一部の日本株は分割しないのか?
株価分割を行わない理由:選ばれた投資家層を引き込むための戦略
多くの企業は、株価が一定水準を超えると株式分割を行い、株価を下げて流動性を高めます。
しかし、一部の企業はこれを避け、株価を高く保つ戦略を取ります。高株価は企業の成熟度や信頼性を示すため、投資家層を制限し、安定した取引を実現するための手段として機能します。
特に大手企業においては、長期的な視野を持つ投資家を引き付けるため、あえて株価分割を行わない場合があります。
これにより、短期的な利益を追求する投資家ではなく、企業の成長に共感し、長期保有を前提とした投資家を集めることができるのです。
高株価が企業に与えるブランド価値
株価が高いことは、単なる取引価格以上の意味を持ちます。高価格な株は、その企業が市場で強い競争力と安定した成長を遂げている証として、ブランド力を向上させます。
たとえば、**キーエンス(証券番号:6861)**は、1株あたり6万円以上の株価を維持しています。
これは、分割を行わないことで企業の信頼性や強固な財務基盤を示し、特定の投資家層に訴求するための戦略です。
公式HP: キーエンス公式サイト
また、高い株価を維持することで、株式が市場での大規模な投機対象となりにくく、安定した株主構成を保つことが可能です。
企業にとっては、投資家の質を保ちながら、株式市場での存在感を高めるメリットがあるのです。
株式分割とその効果
一方で、株価が高騰しすぎると、株式の取引量が減少し、流動性が低下する恐れがあります。
そのため、多くの企業は株式分割を行い、株価を引き下げて投資家にとっての魅力を保ちます。
分割によって投資家はより安価で株式を購入できるようになり、市場での流動性が向上します。
例えば、アップルやテスラのような企業は、過去に株式分割を行い、その後も株価の上昇が続きました。
この戦略により、個人投資家が参加しやすくなると同時に、企業のブランド価値も維持されます。
株式分割の方法は
既発行株式を複数に分割して総数を増やす手法です。例えば1株を2株に分割すると、株数は2倍になり1株の価値は半分になります。実施には取締役会または株主総会での決議が必要で、基準日の2週間前までに株主への公告が求められます。効力発生日から2週間以内に法務局で登記手続きを行います。分割比率は会社が自由に決定でき、1:2や1:5などの整数倍だけでなく、1:1.5のような分数倍も可能です
株価が低い企業の戦略:流動性と個人投資家のアクセス向上
対照的に、一株あたりの株価が低い企業も存在します。
**三井金属鉱業(証券番号:5706)**のような企業は、株価が5000円以下で取引されることが多く、2022年4月1日を効力発生日として、三井金属パーライト株式会社を新設分割・株式分割を積極的に行っています。
さらに詳しく
新設分割とは、分割会社である三井金属鉱業株式会社が新設会社を継承会社として、新設会社を設立する会社分割の方式です。
このような企業の狙いは、個人投資家の参加を促進し、市場での流動性を高めることです。
三井金属鉱業は、個人投資家が少額で取引できるように株価を抑える方針を取っており、これにより多様な投資家層を獲得しています。
公式HP: 三井金属鉱業公式サイト
株価が低い企業は、流動性の高い市場での取引を促進し、多くの投資家が手軽に株式を購入できる環境を提供します。
この戦略により、短期的な取引が活発化し、企業の株価に対する注目度が高まることが期待されます。
結論:株価戦略は企業の成長と株主構成を左右する
株価が高く設定される理由は、企業の成長、安定性、ブランド価値を維持するための戦略的な決定です。
高い株価を保つことで、企業は長期的な投資家を引き付け、株式市場での信頼性を高めています。
反対に、低株価企業は市場での流動性を重視し、より多くの投資家が参加しやすい環境を提供しています。
投資家にとっては、株価の高さだけでなく、企業の成長性や収益力を考慮して投資先を選ぶことが重要です。
株価の高低に関わらず、企業の本質を見極め、長期的なリターンを期待できる企業に投資することが、成功への鍵となります。