ゲオルグです。
今日は、ウォーレン・バフェットがアップル株を大量に購入した理由についてお話しします。
「自分が理解できるビジネスにしか投資しない」という原則で知られるバフェットが、なぜテクノロジー企業であるアップルを選んだのか?
彼の投資哲学に変化があったのか、それともテクノロジーを理解するようになったのか?
この記事では、バフェットのアップル投資の背景と、そこから私たちが学べることを探ります。
最後にまで読んでいただけるように頑張ります!
目次
ウォーレン・バフェットはなぜアップルを買うようになったのか?
バフェットの投資哲学の変遷
ウォーレン・バフェットは長年、「自分が理解できるビジネスにしか投資しない」という投資哲学を貫いてきました。
この原則により、彼はITバブル時代にテクノロジー企業への投資を避け、多くの投資家が大損を被る中で資産を守ることに成功しました。
しかし、2016年、85歳の時にバフェットは、アップル株の大規模な購入を開始し、投資界に衝撃を与えました。
↓「資産の99%は彼が50歳を超えてから築いたものです。」
99% of Warren Buffett’s wealth was earned after his 50th birthday…....never give up! pic.twitter.com/Eaj77if91W
— Arun Mukherjee (@Arunstockguru) February 29, 2016
なぜバフェットは自らの原則を変えたのでしょうか?
それとも、彼はアップルを理解するようになったのでしょうか?
バフェットのアップル投資の経緯
バフェットがアップル株を購入し始めたのは2016年でした。
当初、多くのアナリストはこれをバフェットの投資哲学の大きな転換と見なしました。
しかし、バフェット自身は「アップルは消費財企業だ」と述べ、自身の投資原則を曲げていないことを強調しました。
バフェットがアップルを「消費財企業」と表現したことは、彼の独特の視点を示しています。
この「消費財企業」という表現の他の言い方や解釈としては以下のようなものが考えられます:
- ブランド力のある企業:アップルは強力なブランドイメージを持ち、顧客のロイヤリティが高い企業です。
- 日用品メーカー:バフェットはiPhoneなどのアップル製品を、人々の日常生活に欠かせない製品と見なしています。
- リピート購入を生む企業:アップル製品のユーザーは定期的に新製品を購入する傾向があり、これは従来の消費財企業の特徴と類似しています。
- 顧客中心の企業:アップルは顧客体験を重視し、製品とサービスを通じて顧客との関係を構築しています。
- エコシステムを持つ企業:アップルは製品とサービスの統合されたエコシステムを持ち、これが顧客の継続的な利用を促進しています。
- ライフスタイル企業:アップル製品は単なる技術製品ではなく、ユーザーのライフスタイルの一部となっています。
バフェットは、アップルをテクノロジー企業としてではなく、これらの特徴を持つ消費者向けブランドとして評価したと考えられます。
これにより、彼は自身の投資原則を維持しながら、変化する市場環境に適応したのです。
彼はアップルの製品、特にiPhoneが消費者の生活に深く浸透していることに着目し、これを従来の消費財ブランドと同様に評価したのです。
ポートフォリオ変化の歴史
バークシャー・ハザウェイの投資ポートフォリオを見ると、アップル投資以前は主にコカ・コーラやアメリカン・エクスプレスなどの伝統的な消費財・金融企業が中心でした。
しかし、アップル株の購入を機に、テクノロジー企業への投資比率が急激に増加しました。
2024年7月時点で、アップル株はバークシャー・ハザウェイのポートフォリオの約43.4%を占めるまでになっています。
- 2024年第2四半期(4-6月)にバークシャー・ハザウェイはアップル株を大量に売却しました。
- 売却前はアップル株がポートフォリオの50%以上を占めていましたが、売却後は約30%になったと報告されています。
- 2024年8月18日付のForbes記事によると、アップル株はバークシャー・ハザウェイのポートフォリオの約43.4%を占めていると報告されています。
大規模な売却後も、アップル株はバークシャー・ハザウェイのポートフォリオで最大の保有銘柄であり続けています。
マーケットの変化に対応する力
バフェットのアップル投資は、彼の学習能力と適応力を示しています。
デジタル化が進展する中で、バフェットは自社の投資マネージャーであり、若手投資家Todd CombsやTed Weschlerの意見を積極的に取り入れ、新しい市場動向を理解しようと努めました。
これは、93歳を超えた今でも、バフェットが柔軟な思考を持ち続けていることの証左と言えるでしょう。具体的には:
- Todd Combs: Berkshire Hathawayの投資マネージャーの一人で、2010年に入社。
彼はヘッジファンドの経験があり、テクノロジー企業への投資に精通しています。 - Ted Weschler: 同じくBerkshire Hathawayの投資マネージャーで、2011年に入社。
彼も私募ファンドの運用経験があり、新しい産業への洞察力に優れています。
バフェットは彼らから学ぶために:
- 定期的なミーティングを行い、新しい投資アイデアについて議論しました。
- テクノロジー企業の財務諸表や事業モデルについて、詳細な説明を求めました。
- 若手投資家たちが推薦する書籍や記事を読み、デジタル経済について理解を深めました。
さらに、バフェットは自身も積極的に学習を続けました:
- Appleのティム・クックCEOと直接会話し、ビジネスモデルについて理解を深めました。
- テクノロジー業界のカンファレンスやセミナーに参加し、最新のトレンドをキャッチアップしました。
- Amazonのジェフ・ベゾスやMicrosoftのビル・ゲーツなど、テクノロジー業界のリーダーたちとの対話を通じて、業界の動向を把握しました。
このような継続的な学習と若手人材の活用により、バフェットは伝統的な投資哲学を保ちながらも、変化する市場に適応する力を維持し続けています。
彼の姿勢は、年齢に関係なく、常に学び続けることの重要性を示しています。
資産の増減グラフ
バークシャー・ハザウェイの資産推移を見ると、アップル投資以降、急激な成長が見られます。
2016年から2022年にかけて、アップル株は約900%上昇し、バークシャー・ハザウェイに多額の含み益をもたらしました。
この期間、バークシャー・ハザウェイの株価も大きく上昇し、アップル投資の成功が全体の資産増加に大きく貢献したことがわかります。
決算書と四半期決算書の読むポイント
バフェットがアップルの財務状況を評価する際に重視したのは、安定したキャッシュフロー、高い利益率、そして積極的な自社株買いです。
特に自社株買いについては、2022年2月の株主への手紙で高く評価しています。
◆ 12兆円
Appleが900億ドル(12兆円)の自社株買いを設定しました。日本企業全体の1年間の金額を上回ります。Alphabetも先日700億ドルを設定。下記noteで「なぜやる?」「なぜ株高に?」を解説。2月の記事ですがそのまま読めます👇note【そもそも自社株買いって?】https://t.co/kIy9ZzC0LO pic.twitter.com/ZjfCNmUHRq
— 後藤達也 (@goto_finance) May 4, 2023
バフェットは、アップルの自社株買いによって、バークシャー・ハザウェイのアップル株保有比率が5.39%から5.55%に増加したことを指摘し、これが追加投資なしで利益の持ち分を1億ドル増やしたと述べています。
バフェットのアップル投資から学べること
- 変化する市場への適応の重要性:バフェットは固定観念にとらわれず、新しい産業を理解しようと努めました。
- 企業の本質を見抜く力:バフェットはアップルをテクノロジー企業ではなく、強力なブランド力を持つ消費財企業として評価しました。
- 長期投資の価値:バフェットは短期的な市場の変動に惑わされず、アップルの長期的な成長性に着目しました。
- 自社株買いの意義:バフェットはアップルの積極的な自社株買いを高く評価し、これが株主価値の向上につながると考えました。
まとめ
バフェットの投資哲学の進化バフェットのアップル投資は、彼の投資哲学が「分かるものを買う」から「分かるように努める」へと進化したことを示しています。
テクノロジー企業への投資姿勢の変化は、市場の変化に適応する重要性を示唆しています。
しかし、企業の本質的な価値を重視し、長期的な視点で投資を行うという基本的な姿勢は変わっていません。
バフェットのアップル投資の成功は、変化する世界でも普遍的な投資原則が存在することを教えてくれます。
それは、企業の本質を理解し、長期的な視点で投資を行い、市場の変化に柔軟に対応する姿勢です。
今後も、バフェットの投資判断から学べることは多いでしょう。
次回をお楽しみに!