この銘柄は、役員に元キーエンスの社長とアパホテルの社長の2つがいるので買ったテーマ株。
目次
企業分析リポート:SHIFT
2005年設立の独立系ITソリューション企業SHIFTは、ソフトウェアテストを中心とした品質保証事業を主力に成長してきた。
異業種出身者を積極的に採用し、独自の育成手法でテストエンジニアへと育て上げることで、人材不足が深刻な業界においても大量採用を継続できる強みを持つ。
近年はテスト業務で蓄積した知見やデータを活用したコンサルティングに加え、システム開発やセキュリティなど周辺サービスへ事業領域を拡大し、成長を加速。
さらにM&Aを積極的に展開し、ライズコンサルティングやメディアドゥの大株主となるなど資本提携にも踏み込んでいる。
会社名とその由来
高度経済成長時代の日本は、「ものづくり」が盛んで、
どうやって作るか、いかに安く作るかを追求した“How”の時代でした。これからの日本は、何を作るかという“What”が求められると思っています。
モノが溢れGDPだけを追求した価値から、
人間が本当に幸せに暮らせる新しい価値へシフトしたいという思いを込めて、
SHIFTを創業しました。
沿革
- 2005年:丹下大氏が設立
- 2009年:ソフトウェアテスト事業開始、東京テストセンター開設
- 2012年:インド・シンガポールに海外子会社設立
- 2014年:東証マザーズ上場(証券コード3697)
- 2015〜2017年:国内外で子会社設立・買収を加速(SHIFT PLUS、SHIFT SECURITYなど)
- 2018〜2019年:複数のIT関連企業を子会社化、東証一部へ市場変更
- 2020〜2021年:M&Aを積極展開(リアルグローブ、ナディア、VISHなど)
- 2022年:投資子会社「SHIFTグロース・キャピタル」設立、東証プライム市場へ移行
- 2023年:キャリアシステムズ、クレイトソリューションズ、シムテック、Build Plusを子会社化
設立からわずか10年で上場、さらにプライム市場へ移行したスピード感が際立ち、海外展開(インド・シンガポール・ベトナム)と国内M&Aを組み合わせて事業を拡大している。
「品質保証」から「総合ITソリューション」へと進化する過程が沿革に表れている。
👉 設立から急成長し、海外展開とM&Aで事業を拡大。現在はプライム市場上場の総合ITソリューション企業📑✨
経営陣
取締役・執行役員
- 代表取締役社長 丹下 大 京都大学大学院修了後、インクスでコンサル部門を急成長させた実績を持ち、2005年にSHIFTを創業。品質保証事業を基盤に、M&Aや事業拡大をリード。
- 取締役会長 佐々木 道夫 元キーエンス社長。2018年に社外取締役として参画、2020年副社長、2024年会長就任。製造業で培った経営ノウハウを提供。
- 取締役 小林 元也 東京工業大学大学院修了。インクス出身で品質保証事業の立ち上げを担い、事業管理全般を管掌。
社外取締役
- 村上 誠典:元ゴールドマン・サックス、M&A・投資の専門家。シニフィアン共同代表。
- 元谷 芙美子:アパホテル社長。ホテルチェーン拡大の実績を持つ。
- エイミー シゲミ ハッタ:外資金融・製薬業界出身。米国Nomura Holding America Inc.などで取締役経験。
社外取締役(監査等委員)
- 新井 優介:公認会計士・税理士。IPO支援や内部統制に強み。
- 中垣 徹二郎:ベンチャー投資家。シリコンバレーVC「Draper Nexus」設立者。
- 谷中 直子:弁護士。SHIFTグロース・キャピタル監査役、三菱地所物流リート監督役員。
執行役員
- 菅原 要介:人事本部長。採用・人材マネジメントを統括。
- 細田 俊明:事業本部副本部長。金融からゲームまで幅広いIT領域を管掌。
- 真岡 佑介:ソリューション本部長。ERP・産業流通領域を統括。
- 木村 剛:元キーエンス取締役。営業・組織構築に強み。
- 山路 亜紀:広報IR部長。上場以来のIR戦略を統括。
顧問・インダストリー
- 川口 耕介:Jenkins開発者。技術顧問としてソフトウェア開発分野を支援。
- 渡辺 秀明:初代防衛装備庁長官。サイバーセキュリティ基準導入に尽力。
- 青木 由行:元国交省都市局長。都市政策・地方創生の専門家。
- 岩﨑 茂:元航空自衛隊統合幕僚長。防衛・安全保障分野に知見。
事業戦略顧問
- 波多野 徹:NRI・アクセンチュア出身。事業戦略・ERP導入支援に強み。
- 細谷 哲史:SAP・Oracle出身。ERP・システム導入の専門家。
- 川原 均:IBM・Salesforce・デロイト出身。グローバルIT戦略に精通。
SHIFTの経営陣は「創業者+製造業の大物+外資金融・ホテル業界・官僚・防衛OB」と多様性が際立つ。
- 強み:異業種の知見を取り込み、M&Aや事業拡大を支える布陣。
- 狙い:品質保証から総合ITソリューション企業へ進化するための人材投資。
- リポート表現: 「SHIFTは創業者のリーダーシップに加え、製造業・金融・不動産・防衛など多様なバックグラウンドを持つ経営陣を揃え、急成長を支える体制を構築している」
事業内容
1. 主力事業:ソフトウェア品質保証・テスト
- ソフトウェアが正しく動作するかを検証する テスト業務を専門に展開。
- 国内市場規模は約5.5兆円とされるが、専業企業は少なくブルーオーシャン市場。
- 開発エンジニアが担っていたテストをアウトソース化し、効率化と品質向上を実現。
2. コンサルティング・DX支援
- テスト業務で蓄積した知見やデータを活用し、 ITコンサルティングを提供。
- システム開発プロジェクトの初期段階から参画し、品質を最前線に置いた提案を行う。
- 企業のDX推進や業務改善を支援し、「IT・DXの総合商社」としての立ち位置を強化。
3. 周辺サービス
- システム開発:顧客の要望に応じた開発支援。
- セキュリティ:SHIFT SECURITYを通じて情報セキュリティ分野へ進出。
- 人材育成:異業種出身者を採用し、独自の育成手法でテストエンジニアに育成。
4. M&Aによる事業拡大
- 多数のIT関連企業を子会社化し、グループ全体で幅広いサービスを提供。
- 「ONE-SHIFT」という合言葉のもと、専門家を集めて総合力を高めている。
SHIFTは「テスト専業」から「品質保証+ITコンサル+DX支援」へと進化している。
- 強み:品質保証のノウハウ、人材育成力、M&Aによる事業拡張。
- 狙い:ソフトウェアの安心・安全を担保する“最後の砦”として、社会インフラ企業を目指す。
👉 SHIFTは品質保証を基盤に、IT・DXの総合商社へ進化する成長企業📑✨
成長モデル
1. 既存事業のオーガニック成長
- 主力の ソフトウェア品質保証(テスト)事業を拡大。
- 営業力強化(既存顧客深耕+新規顧客開拓)と採用力強化(CAT検定による人材発掘)で成長を継続。
- IT人材不足を逆手に取り、異業種人材を育成して供給力を確保。
2. M&A戦略
- システム開発、セキュリティ、コンサルティングなど周辺領域の企業を積極的に買収。
- 「ノウハウ(暗黙知)」を獲得し、グループ全体のサービス供給力を強化。
- PMI(統合プロセス)を重視し、買収先をグループに組み込み一気通貫サービスを提供。
3. 知財・AI戦略
- テスト品質をスコア化する CAT技術で属人化を防ぎ、標準化とスケーラビリティを実現。
- 蓄積したデータをAIに学習させ、「AI×品質保証」で労働集約型モデルの限界を突破。
- 将来的には「AIと人間の共進化」ループを構築し、利益率改善を狙う。
4. 中期目標「SHIFT3000」
- 2028~2030年までに売上高3,000億円を目標。
- FY2025決算では売上1,298億円、営業利益156億円、営業利益率12%と過去最高を更新。
- 利益率改善(9.5%→12%)は、単価上昇と稼働率適正化による競争力強化の成果。
SHIFTの成長モデルは「人材育成+M&A+AI活用」の三本柱で、ブルーオーシャン市場を一気に取りに行く戦略。
- 人材育成で供給力を確保
- M&Aで事業領域を拡張
- AIで利益率を改善
👉 SHIFTは品質保証を基盤に、人材育成・M&A・AI活用を組み合わせ、2028~30年に売上3,000億円を目指す成長モデルを描いている
伸びしろ
1. 品質保証市場の拡大
- 日本のソフトウェアテスト市場は約5.5兆円規模とされるが、専業企業は少なくブルーオーシャン。
- SHIFTはこの市場でリーディングカンパニーとして地位を確立しつつあり、シェア拡大余地が大きい。
2. DX需要の追い風
- 企業のDX推進に伴い、システム開発・運用の品質保証ニーズが急増。
- プライム案件を直接受注する戦略により、単価上昇と利益率改善が進んでいる。
3. AI活用による利益率改善
- テスト業務の標準化・スコア化(CAT技術)を進め、属人性を排除。
- 蓄積したデータをAIに学習させることで、労働集約型モデルの限界を突破し、利益率をさらに高める余地がある。
4. M&Aによる事業領域拡張
- セキュリティ、ERP、コンサルティングなど周辺領域の企業を積極的に買収。
- PMIを通じてグループ全体のサービスを一気通貫化し、総合ITソリューション企業へ進化。
5. 中期ビジョン「SHIFT3000」
- 2028~2030年までに売上高3,000億円を目標。
- FY2025時点で売上1,298億円、営業利益率12%と過去最高を更新。まだ目標まで倍以上の伸びしろが残されている。
SHIFTの伸びしろは「市場規模の大きさ+DX需要+AI活用+M&A拡張」の四重奏。
- 市場シェア拡大余地がまだ大きい
- 利益率改善はAIと標準化でさらに可能
- 売上目標3,000億円までの道のりは長く、成長余地は十分
👉 SHIFTは品質保証を基盤に、DX需要・AI活用・M&A拡張を組み合わせ、売上3,000億円を目指す。市場規模と利益率改善余地から、伸びしろは依然として大きい📑✨
市場規模
- ソフトウェア開発産業全体:約16兆円
- ソフトウェアテスト市場:約5.5兆円
- 外注比率:わずか1%程度(ほとんどが内製化されているため、アウトソーシング余地が大きい)
- 成長要因:DX推進、働き方改革、5G・AI・IoTなど新技術の普及に伴う需要増
SHIFTが狙っている市場は「規模が大きいのに外注化が進んでいない」という点が伸びしろ。
- 5.5兆円市場の1%しか外注化されていない → ここを取れば成長余地は莫大。
- DXやAIの普及で品質保証の重要性はさらに高まる。
ソフトウェアテスト市場は約5.5兆円規模、外注比率は1%と低く、SHIFTには拡大余地が大きい。
📊 売上・利益推移(2012/08〜2027/08予想)
- 売上高
- 2012年までは非開示、2013年以降急拡大。
- 2013/08:46,004百万円 → 2020/08:110,627百万円 → 2025/08予想:150,000百万円 → 2027/08予想:170,000百万円。
- 約3.7倍成長(2013→2027)。
- 営業利益
- 2013/08:3,994百万円 → 2017/08:15,628百万円 → 2025/08予想:17,500百万円 → 2027/08予想:19,500百万円。
- 成長率は高いが、2016/08に一度減益(-8.9%)あり。
- 営業利益率は 8.6% → 13%台 → 11%台 と安定的。
- 経常利益
- 2013/08:4,736百万円 → 2017/08:15,181百万円 → 2025/08予想:17,000百万円 → 2027/08予想:19,000百万円。
- 2016/08に減益(-10.4%)があるが、その後回復。
- 当期利益
- 2013/08:2,818百万円 → 2017/08:8,935百万円 → 2025/08予想:11,000百万円 → 2027/08予想:12,300百万円。
- 利益成長率は営業利益に近い動き。
- 売上は 毎年二桁成長を続け、2027年には1700億円規模に到達見込み。
- 営業利益率は 10〜13%台で安定、利益も着実に伸びている。
- 一部年度で減益があるが、全体トレンドは右肩上がり。
- 伸びしろはまだ大きく、売上・利益ともに「安定成長+利益率維持」が見える。
👉 2013年以降、売上は約3.7倍に拡大。営業利益率は安定的に10〜13%台を維持し、当期利益も着実に増加。2027年には売上1700億円、利益120億円規模を見込む📑✨
📊 財務指標の推移(2013/08〜2027/08)
1. 収益性
- ROE:12.5%(2021/08) → 30.2%(2027/08予想) → 自己資本利益率が大幅に改善、資本効率が高まっている。
- ROA:8.2%(2021/08) → 15.9%(2027/08予想) → 総資産に対する利益率も上昇、資産効率が良化。
2. キャッシュ創出力
- EBITDA:4,437百万円(2021/08) → 17,473百万円(2025/08) → 営業キャッシュ創出力が約4倍に拡大。
3. 財務健全性
- 財務レバレッジ:1.5倍 → 1.8倍(2024/08まで) → 適度にレバレッジを効かせて成長を加速。
- ネットD/Eレシオ:-0.5倍 → -0.3倍 → ネットキャッシュ状態(借金より現金が多い)、財務は極めて健全。
4. 効率性
- 総資産回転率:1.3回 → 1.6回 → 資産を効率的に売上へ転換できている。
5. 生産性(従業員あたり)
- 1人当たり売上高:1,036万円 → 1,110万円
- 1人当たり営業利益:89万円 → 133万円 → 従業員の生産性も着実に改善。
このデータから見えるのは「高収益・高効率・健全財務」の三拍子。
- ROE30%超えは日本企業の中でもトップクラス。
- ネットキャッシュ状態で借金リスクがなく、攻めのM&Aも可能。
- 従業員あたり利益が増加しているのは、教育・仕組み化が効いている証拠。
👉 SHIFTはROE30%超、ネットキャッシュ状態、資産効率改善と高収益・高効率・健全財務を兼ね備えた成長企業📑✨
資産の推移(2021/08〜2024/08)
- 総資産:34,272 → 40,230 → 49,530 → 62,717 → 77,001百万円 → 毎年着実に増加、4年間で約2.2倍に拡大。
- 流動資産:21,304 → 22,423 → 30,513 → 37,022 → 43,123百万円 → 運転資金の増加が顕著。
- 固定資産:12,967 → 17,806 → 19,017 → 25,695 → 33,877百万円 → 設備投資やM&Aによる資産増加。
- 無形固定資産:804 → 1,194 → 1,961 → 6,818 → 7,923百万円 → ソフトウェア・のれんなど、M&Aで急増。
- 投資その他資産:4,714 → 9,150 → 6,627 → 4,998 → 13,765百万円 → 投資活動の変動が大きい。
📊 負債・純資産の推移
- 流動負債:8,595 → 11,726 → 18,319 → 19,653 → 25,028百万円
- 固定負債:2,992 → 2,496 → 1,632 → 8,542 → 10,935百万円 → 固定負債は一時減少後、再び増加。
- 純資産:22,683 → 26,007 → 29,578 → 34,522 → 41,037百万円 → 毎年増加、利益剰余金の積み上げが寄与。
- 自己資本比率:65.3% → 63.6% → 58.4% → 53.7% → 52.7% → 資産拡大に伴い比率は低下しているが、依然として健全水準。
- 有利子負債:4,216 → 3,532 → 4,903 → 9,577 → 12,036百万円 → 借入を増やしつつも、自己資本比率50%超を維持。
総資産は右肩上がりで拡大、M&Aや投資活動が背景。
自己資本比率は低下傾向だが、まだ50%超で健全。
無形資産の急増はM&Aによるのれん計上が大きい。
有利子負債は増加しているが、ネットキャッシュ状態を維持しているためリスクは限定的。
👉 総資産は4年間で約2.2倍に拡大。自己資本比率は低下傾向ながら50%超を維持し、財務は健全。M&Aによる無形資産の増加と有利子負債の増加が特徴📑✨
📊 キャッシュフロー推移(2021/08〜2024/08)
1. 営業キャッシュフロー(営業CF)
- 2021/08:4,758百万円
- 2022/08:7,392百万円
- 2023/08:10,167百万円
- 2024/08:9,088百万円
- 2025/08:15,652百万円
👉 営業CFは右肩上がりで拡大。利益成長に伴いキャッシュ創出力が強化されている。
2. 投資キャッシュフロー(投資CF)
- 2021/08:-5,432百万円
- 2022/08:-5,586百万円
- 2023/08:-3,721百万円
- 2024/08:-9,946百万円
- 2025/08:-11,697百万円
👉 常にマイナス。M&Aや設備投資に積極的で、投資CFが大きく膨らんでいる。
3. フリーキャッシュフロー(FCF)
- 2021/08:-674百万円
- 2022/08:1,806百万円
- 2023/08:6,446百万円
- 2024/08:-858百万円
- 2025/08:3,955百万円
👉 年によってプラス・マイナスが変動。投資CFの大きさ次第で安定しない。
4. 財務キャッシュフロー(財務CF)
- 2021/08:8,286百万円
- 2022/08:-3,082百万円
- 2023/08:-1,797百万円
- 2024/08:4,154百万円
- 2025/08:-1,192百万円
👉 借入や返済、資金調達の動きが大きく、年度ごとにプラス・マイナスが入れ替わる。
5. 現金同等物
- 2021/08:14,147百万円
- 2022/08:12,899百万円
- 2023/08:17,551百万円
- 2024/08:20,844百万円
- 2025/08:23,600百万円
👉 着実に増加。投資CFが大きくても、営業CF+財務CFで現金残高は積み上がっている。
- 営業CFは安定成長 → 本業のキャッシュ創出力は強化されている。
- 投資CFは常に大幅マイナス → M&Aや成長投資に積極的。
- FCFは不安定 → 投資のタイミング次第で赤字化もある。
- 現金残高は増加傾向 → 財務CFで調整しつつ、資金繰りは安定。
👉 営業CFは拡大し本業のキャッシュ創出力は強化。一方で投資CFは常に大幅マイナスで、M&Aや成長投資に積極的。FCFは不安定だが、財務CFで調整し現金残高は増加している📑✨
まとめ
SHIFTはソフトウェア品質保証を基盤に、人材育成・M&A・AI活用を組み合わせて成長を続けている。
売上・利益は右肩上がりで拡大し、財務も健全。
短期的には株価が期待値とのギャップや投資負担で揺れる局面もあるが、中長期的には「売上3,000億円」という明確な成長ビジョンに向けて着実に歩みを進めている。
投資家にとっては、需給調整を経た後の再評価余地が大きいテーマ株といえるだろう。
