こんにちは、ゲオルグです。
今回は、日経新聞の記事「マネー、強まるリスク警戒 再生エネや石油需給に波及も」を元に、初心者の個人投資家向けに、現在のマネーの動向とそれが再生エネルギーや石油市場に与える影響について解説します。
投資初心者の皆さんが市場の動きを理解し、適切な投資判断を下す助けとなる情報をお届けします。
目次
現在のマネーの動向とそれが再生エネルギーや石油市場に与える影響
マネー市場のリスク警戒とその影響
最近の市場の動きは、投資マネーがリスクを警戒していることを示しています。
特に、人工知能(AI)関連株や再生可能エネルギー、石油市場にその影響が現れています。
AI関連株の変調
米国の半導体企業エヌビディアなどのAI関連株が変調をきたしています。
これは、投資マネーがリスクを警戒し始めているサインと考えられます。
CBインサイツのデータによれば、2024年4〜6月期における世界のベンチャーキャピタル(VC)資金のうち、AIスタートアップ企業向けは最高の28%を占めました。
しかし、大型案件は増加している一方で、全体の案件数は9四半期連続で減少しています。
特に注目すべきは、イーロン・マスク氏のXAI(エックスエーアイ)のような信用度の高い大型案件には積極的に投資されている一方で、リスクの高い小型案件は敬遠されている点です。
これは、過熱するAIブームの中でも冷静な投資判断が行われていることを示しています。
再生エネルギー分野のリスク警戒
再生エネルギー分野でもリスク警戒が強まっています。
特に、太陽光発電企業は成長資金の調達に苦労しており、借り入れを迫られるケースが増加しています。
コンサルティング会社のメルコム・キャピタル・グループによれば、金利上昇や貿易障壁の不透明感から投資家が資金を絞っているため、企業は借り入れにシフトせざるを得ない状況です。
このような状況は、次世代の再生エネルギー企業の成長を妨げる可能性があります。
ベンチャー企業は成長への期待が高くても、収益が伴わないことが多いため、VCのようなリスクマネーが重要です。
資金の出し手が減少すると、再生エネルギー企業の成長が停滞する恐れがあります。
企業の設備投資の選別
企業自身も再生エネルギーの設備投資を選別し始めています。
例えば、航空機の温暖化ガス排出量を減らすための持続可能な航空燃料(SAF)※に関して、欧州連合(EU)は2025年から航空燃料に2%の混入を義務付ける予定です。
しかし、英シェルはオランダで予定していたバイオ燃料施設の建設を一時停止すると発表しました。
これは、投資に見合う利益を確保できるかどうかを見極めるための動きとされています。
持続可能な航空燃料「SAF(Sustainable Aviation Fuel)」は、原料となるバイオマスや廃食油、都市ごみなどの生産・収集から、製造、燃焼までのライフサイクルで、従来の航空燃料に比べて温室効果ガスの排出量の大幅な削減が期待できるとともに、既存のインフラをそのまま活用できる航空燃料です。
エネルギー需給のバランスへの影響
再生エネルギーの増加が原油への依存を減少させると考えられがちですが、現実はそう簡単ではありません。
英石油大手BPは、現在のエネルギー市場は「エネルギー追加」の段階にあり、低炭素エネルギーと化石燃料の両方の消費量が増加していると指摘しています。
過去の転換期にも「追加段階」が見られ、今回は風力や太陽光による発電が増加し、電気自動車(EV)の普及が進んでいるにもかかわらず、世界の原油需要は依然として高い水準を維持しています。
原油月足は2022年に129ドル最高値をつけてから徐々に下がって来たが2023年より上は94ドルから下は63ドルのレンジ内で推移している。
株式市場の動向
株式市場では、再生エネルギー株に比べて石油株が堅調です。
S&Pグローバル株価指数によれば、石油などのエネルギー株がクリーンエネルギー株を一貫して上回っており、今年に入ってその差が拡大しています。
マネー変調による再生エネルギーへの逆風
こうした状況に、マネー変調による再生エネルギーへの逆風が加われば、原油依存の圧力が強まり、供給不足につながる可能性があります。
油田やガス田の発見は年々難しくなっており、2023年の発見量は前年の半分以下と記録的な低水準でした。
例えば、米エクソンモービルも確認埋蔵量が減少傾向にあります。
「EVへの移行がなければ、世界の残りの埋蔵量は需要を支えるには不十分」との見方が業界に広まりつつあります。
ニューヨークの原油相場は、中国の需要懸念がある中でも、半年以上にわたり1バレル70ドルを超えています。
エネルギーを取り巻く状況の複雑さが相場の方向を見えにくくしているのです。
まとめ
投資初心者の皆さんにとって、現在のマネー市場の動向とその影響を理解することは重要です。
リスクを警戒する投資マネーの動きは、再生エネルギーや石油市場にも波及しており、その影響は今後も続く可能性があります。
今回の情報は、日経新聞の記事「マネー、強まるリスク警戒 再生エネや石油需給に波及も」をもとにまとめました。
以上、ゲオルグでした。次回もお楽しみに!