※本稿は「企業サイト・IR情報・決算短信」をもとに、
事業の耐久性/評価の歪み/市場との向き合い方を整理する。
※事業内容や業績推移の詳細は、別途「企業存続分析リポート」にて扱う。
目次
① この銘柄をどういう前提で扱うべきか
(成長株か/資産株か/耐久株か)
まず最初に整理すべきは、
この銘柄をどの前提で見るかだ。
サンエー化研は、
成長期待で買われるタイプの銘柄ではない。
売上は安定しているが高成長ではなく、
事業は包材・機能性材料という成熟産業に属する。
一方で、
- 借入金の圧縮
- 利益率の急改善
- 投資有価証券の評価益増加
といった動きから、資産耐久型+構造改善進行中の銘柄
訂正:「成長株では“絶対にない”」
「構造改善が失敗すれば、ただの地味株に戻る」
という前提で捉えるのが妥当。
ここを成長株として見ると、
「なぜ株価が動かないのか」を失敗と誤認しやすい。
本稿では、
市場で評価されにくい前提に立った上で、どう付き合う株か
という視点で整理する。
② 事業は何によって支えられているか
(フロー型か/ストック型か)
本銘柄の事業構造は、
フロー型(包材・加工品販売)を主軸としつつ、
用途分散によってブレを抑える設計になっている。
特に重要なのは、
- 医薬・医療向け包材
- 電子部品・スマートフォン向け機能性材料
といった、需要が一気に消えにくい用途の存在。
訂正:「医療用途は“伸びないが消えない”」
👉 だから評価されにくいが、壊れにくい
IR・企業サイトを見る限り、
この分野は量よりも継続性と単価を重視しており、
事業の下支えとして一定程度機能している。
ここが弱い会社は、
市況悪化時に真っ先に利益が吹き飛ぶ。
③ その収益はどれくらい安定しているか
(景気耐性・継続性)
見るべきは収益の「大きさ」ではなく、
どれくらい崩れにくいか。
- 食品・飲料向け包材は外部環境の影響を受けやすい
- 一方で医療・産業用途は底堅い
- 低採算製品の整理を進めている点も評価できる
今回の中間決算では、
- 売上:+4.1%
- 営業利益:+296.9%
追記:利益構造の改善が数字として顕在化していが、
“悪すぎた状態から、普通に戻っただけ”。
これは好況だから良いのではなく、
不況でも利益を残す方向へ設計が変わった兆し
として見るのか決算発表で確認がいる。
④ 財務と資産はどこまで耐えられるか
(換金性・ネットキャッシュ)
本銘柄の財務耐久力を確認するため、
**清原式ネットキャッシュ比率(NC率)**を算出する。
これは
「資産の量」ではなく、
実際に守りとして使える現金性資産が、時価総額に対してどの程度あるか
を見るための指標だ。
【計算式(清原式)】
NC率
=(現預金 + 投資有価証券 ×70% - 有利子負債)÷ 時価総額 ×100
※ 投資有価証券は
「投資その他の資産」内の 『その他』のみ を対象
※ 有利子負債は
1年内返済予定の長期借入金+長期借入金のみ を使用
① 現預金 💰
現金及び預金:6,022,760千円
= 60.23億円
② 投資有価証券(清原式評価)📎
投資その他の資産「その他」:131,836千円
清原式では換金性を考慮し 70%評価 とする。
131,836 × 70% = 92,285千円
= 0.92億円
※ 参考:
BS上の「投資有価証券(70億円超)」は
評価変動が大きいため、ここでは完全にカウントしない。
これを含めると“四季報的NC”になり、
清原式の思想から外れる😏
③ 有利子負債 🔩
1年内返済予定の長期借入金+長期借入金 合計
3,860,000 + 720,500 = 4,580,500千円
= 45.81億円
④ ネットキャッシュ額の算出 🧮
60.23億円
+ 0.92億円
- 45.81億円
= 15.34億円
⑤ 清原式ネットキャッシュ比率(NC率)📊
時価総額:93.5億円(前提)
15.34 ÷ 93.5 ×100
= 約16.4%
■ NC比率の評価(位置づけ)
NC比率16%台は、
- フルキャッシュ企業ではない
- ただし、財務的に脆い水準でもない
という中間ゾーン。
借入金は着実に圧縮されており、
現時点で「財務不安で売られる会社」ではない。
一方で、
NCが評価ドライバーになる水準でもないため、
この銘柄は
「キャッシュだけで株価が見直されるタイプ」ではない。
👉 あくまで
事業改善+耐久力を下支えする要素の一つ
として捉えるのが適切。
■ NCが“下値の支え”として機能する水準はどこか
現在の清原式NC比率は 約16%。
これは、財務的な保険としては機能するものの、
下落局面で株価を支えるアンカーになる水準ではない。
言い換えると、
このNC水準では
「下で拾う」という行動との整合性が弱い。
では、
どこまで株価が下落すればNCが効き始めるのか。
清原式では、
NC比率が 50%前後 に達した水準から、
初めて
「株価の半分が実質キャッシュ」という評価が成立し、
市場の過度な悲観に対する
下値の支えとして機能し始める。
本銘柄の清原式ネットキャッシュ額は 約15.3億円。
これを基準に逆算すると、
NC比率50%が成立する時価総額は 約30億円台 となる。
現在の時価総額(約93.5億円)と比較すると、
株価が今の約3分の1水準まで下落して、
初めてNCが主役になる計算だ。
つまり現時点では、
NCは
「壊れにくさを補強する要素」ではあっても、
買い判断の主軸にはならない。
本銘柄を「下で拾う」対象とするなら、
見るべきは
業績悪化や失望売りによって株価が大きく調整し、
NCが評価の軸に浮上する局面である。
⑤ 市場はなぜこの会社を評価していないのか
(評価ギャップの正体)
理由はかなりはっきりしている。
- セクターが地味(包材・加工)
- 成長ストーリーが弱い
- 投資テーマ性が薄い
包材セクターは
「改善しても、また悪くなる」と思われている
過去に何度も
“一時改善 → 再悪化”を繰り返してきた業界
👉 つまり
市場は“裏切られ疲れ”を起こしている
このタイプは、
利益改善が進んでも評価が遅れやすい。
⑥ 株価水準と指値戦略
「なぜ750円なのか」ではなく、「800円を割ったときに何が崩れるのか」を考えるべきだ。
800円はキリの良い価格帯であり、個人投資家・アルゴ・短期勢の注文が最も集中しやすい水準だ。
ここを明確に割り込む局面では、心理的な支えが外れ、投げ・損切り・需給の歪みが一気に出やすくなる。
一方、750円は週足ベースで確認できるダブルボトム(DB)の下髭タッチラインに該当する水準であり、
市場が過剰に悲観に振れた際に、実需・長期資金が入りやすい価格帯と位置づけられる。
本指値は「安く買いたい」という願望ではなく、
需給と心理が同時に崩れた後にだけ出現する価格帯を拾うことを目的としている。
🏁 最終整理:この銘柄との正しい付き合い方
サンエー化研は、
- 短期で跳ねる株ではない
- だが、急に壊れる会社でもない
資産耐久+構造改善の進捗を確認しながら、
下で拾って戻りを待つ銘柄
評価されない前提に立てるなら、
判断はむしろシンプル。
🎯 行動メモ(自分用)
この銘柄は現在300株保有中で、平均取得単価は800円。
- 750円(100株)
- 800円(100株)
- 850円(100株)
8月12日決算発表であり、決算で構造改善が崩れたら再評価する予定。
