企業分析リポート

企業分析リポート:中央可鍛工業(5607)

〜PBR0.37倍台に沈む「トヨタ系鍛造屋」と、現金が減らない会社の時間価値〜

📌 このレポートの立ち位置

本レポートは
「EVで全部終わる自動車部品株の話」ではない。

ココがポイント

  • PBR0.6倍台に放置されている理由を分解

  • PBR1.0倍(解散価値)に戻る最低条件を定義

  • 業績ジャンプを期待せず、時間と資産で勝つ戦略を取る

👉 清原式・超教科書型銘柄
👉 「待てる人だけが報われる」タイプ


📋 事業概要:どんな会社なの?

中央可鍛工業は1944年創業、自動車用鍛造部品の専業メーカー
トヨタ系色が強く、事業内容は極めて地味。

主力は👇

  • 足回り・駆動系の鍛造部品
  • エンジン/シャシー関連
  • 量産向け・長期取引型

特徴を一言で👇
「なくならないが、派手に儲からない」


📊 財務分析(過去5年の構造)

① BS:教科書に載せたいレベルの堅牢さ

  • 自己資本比率:約70%
  • ネットキャッシュ:完全にプラス(実質無借金)
  • のれん・無形資産:ほぼゼロ

👉 倒産・希薄化リスクは限りなくゼロ

問題はここ👇

キャッシュを

  • 攻めにも
  • 株主還元にもほとんど使っていない

結果👇
🛑 ROEが6〜7%止まり
🛑 PBRが0.6倍台に沈殿


② PL:稼げているが「構造天井」が低い

  • 売上:横ばい〜微増
  • 営業利益率:4%前後が天井
  • 黒字は安定、ただし伸びない

理由は明確👇

  • 価格決定権は完成車メーカー側
  • 原材料高は時間差でしか転嫁できない
  • 設備産業ゆえ、固定費が重い

👉 「良い下請け」だが「強いメーカー」ではない


③ CF:清原式が最も好むポイント

  • 営業CF:安定してプラス
  • 投資CF:抑制的
  • フリーCF:年によってブレるが、累積で減らない

👉 不況でも金が減らない会社


🧩 セグメント・構造分析

単一セグメントだが、実態は二層構造

  • 量産向け(安定・低マージン)
  • 技術・金型・長期取引(参入障壁)

👉 爆発力はないが、仕事が消えにくい

EV化について👇

  • エンジン部品は縮小
  • ただし足回り・車体部品は残る

👉 「全滅論」は誇張


💡 評価が変わる“最低条件”

ここが曖昧だと、プロは絶対に入らない。

シナリオ①【資本政策の変化】⭐ 最重要

  • 自社株買い
  • DOE導入
  • 配当性向引き上げ

👉 ROE +1〜2pt
👉 PBR是正の即効薬

実現確率:中(外圧次第)


シナリオ②【利益率の微改善】

  • 原材料転嫁の定着
  • 稼働率改善

👉 営業利益率 +0.3〜0.5pt
👉 評価は限定的

実現確率:高
※ただし株価インパクトは小さい


シナリオ③【EV悲観の剥落】

  • EV普及の現実化(減速)
  • ICE残存期間の再評価

👉 バリュエーションの正常化

実現確率:中


🎯 結論
①がない限り、大化けはない。
だが①が出た瞬間、PBR1倍は一気に見える。


🆚 類似銘柄との位置づけ

項目中央可鍛一般自動車部品
財務
成長×
希薄化なしあり得る
清原式適合

👉 「退屈だが、裏切らない」


📈 最新バリュエーション(2026/01/12想定)

  • 株価:692円前後
  • 時価総額:111億円
  • PER:7.3倍
  • PBR:0.37倍
  • 配当利回り:2.31%前後
  • 信用倍率:低水準(需給は軽い)

👉 需給は非常に良い
👉 上がらない理由は「材料がない」だけ


🚪 出口戦略

前提(2026/01/12)

  • 株価:692円
  • PBR:0.37倍
  • 時価総額:111億円

この水準はもはや
👉 割安ではなく「放置ゾーン」


🎯 第一出口:PBR 0.7〜0.8倍(現実的・最有力)

  • 株価目安:1,300〜1,500円

  • トリガー:
    市場全体のリスクオン
    EV悲観の剥落
    同業他社の再評価

👉 企業側が何もしなくても到達可能
👉 ここは「是正相場」の範囲

→ 半分以上は必ず利確対象


🎯 第二出口:PBR 1.0倍(事件発生時のみ)

  • 株価目安:1,900円前後

  • 必須条件:
    自社株買いの本格実施
    DOE導入 or 明確な還元方針転換
    トヨタ系を含むガバナンス圧力の可視化

👉 何も起きなければ到達しない
👉 これは「期待」ではなく「条件付きシナリオ」

→ 材料確認後の初動〜過熱前で全利確


🚫 想定しない出口(重要)

  • 業績ジャンプによる評価転換
  • EV関連テーマ化
  • 成長株としての再評価

👉 この会社にそれを期待するのは間違い


🏁 最終結論

中央可鍛工業は、

  • 成長しない
  • 派手さもない
  • 市場にほぼ忘れられている

だが一方で、

  • PBR0.37倍
  • ネットキャッシュ
  • 希薄化リスクゼロ
  • 需給は軽い

という、
**「条件付きで異常な歪み」**が発生している。


この銘柄は
👉 上がるから買う株ではない
👉 下がらないから持てる株

だからこそ戦略は一つ。

材料が出るまで、何もしない。
出た瞬間だけ、是正分を取りに行く。


清原式としての正しい位置づけ

  • これは主力銘柄ではない
  • 「資産バスケットの底上げ役」
  • 時間を味方につける代わりに、夢は捨てる

最後に(ここが一番大事)

PBR0.37倍は異常だが、異常は長く続く

PBR1.0倍は
👉 “事件が起きれば”現実的
👉 起きなければ0.4〜0.6倍で何年も横ばい

それを理解した上で、歪みだけを拾い、是正された分だけを取る。

清原式の鉄則に、これ以上もこれ以下もない。

追記:2026年1月12日 週足DB600円に仕込んだ。この銘柄は複数指値を入れるより、600円の一点絞りで刺されば長めのホールド戦略が合うと思う。