企業分析リポート

企業分析リポート:オプトエレクトロニクス【優待配当クロス】

12月2日、329円で刺さる。この銘柄は世界有数のPCメーカー台湾のACERグループの日本拠点。台湾有事の際には、日本の拠点を活用してビジネスを展開する戦略と仮定して買った銘柄です。

 

企業分析リポート:オプトエレクトロニクス【優待配当クロス】

オプトエレクトロニクスは、バーコード読み取り装置で世界上位、国内では圧倒的シェアを持つメーカー

赤外線・レーザー・CMOSセンサーを用いた読み取りモジュールを中心に、ハンディスキャナーや定置式・組み込み型スキャナーなどの完成品まで幅広く展開している。

主要顧客はPOS端末、物流機器、医療機器メーカーなどで、英国郵政でも採用されるなど海外評価も高い。

生産は台湾委託を軸に、国内では北海道の子会社や外注先を活用し、柔軟な供給体制を構築している。

 

会社名とその由来

オプトエレクトロニクス(Optoelectronics) という社名は、 Opto(光)+ Electronics(電子技術) を組み合わせた言葉で、 「光と電子技術を融合した製品をつくる企業」という意味を持っている。

 

創業年度と沿革

  • 1976年  東京都港区で創業。光学×電子技術を軸に事業を開始。
  • 1983〜1986年  レーザー式・CCD式バーコードスキャナを開発し、主力事業を確立。  北海道芦別に工場を設立。
  • 1984〜1991年  米国・欧州・オーストラリアに子会社を設立し、海外展開を本格化。
  • 1993〜1999年  製造・販売部門の分社化と再統合を実施。  ハンディターミナルや固定式スキャナなど製品ラインを拡大。
  • 2000〜2009年  JASDAQに上場。  スマートフォン型ハンディターミナルを投入し、製品の多様化を進める。  生産拠点を中国・台湾へ移管し、コスト競争力を強化。
  • 2010〜2022年  電子棚札など新領域へ展開。  市場再編に伴い、2022年に東証スタンダード市場へ移行

1976年の創業から光学×電子技術を軸にバーコードスキャナ事業を拡大し、1980〜90年代に海外展開

2000年代に上場と製品多様化、2010年代以降は生産の海外移管と新領域開拓を進め。

2022年に東証スタンダード市場へ移行した。

 

経営陣のプロフィール

■ 代表取締役社長 俵 政美(Masami Tawara)

会社全体の経営戦略と事業運営を統括するトップ。 光学・電子技術を基盤とする同社の製品開発・海外展開をリードし、 グローバル市場での競争力強化を推進している。

俵政美社長+俵興産で約27%保有 → かなり強いオーナー色の会社

オプトエレクトロニクスの俵政美社長は現在77歳で、創業者として長年にわたり経営を主導してきた人物。一度は会長に退いたものの、その後再び社長に復帰しており、経営の中心が依然として創業者に強く依存している状況にある。

社長個人と関連会社(俵興産)で約27%の株式を保有する“強いオーナー企業”であるため、後継者選びは企業の安定性に直結する重要課題となっている。

現時点で明確な後継者候補は公表されておらず、経営陣の世代交代が進んでいない点は中期的なリスクとして認識すべきポイント。技術系企業として創業者の判断力や技術理解が大きな役割を果たしてきた一方で、今後は後継体制の構築が企業価値維持の鍵となるが…

Acer がオプトエレクトロニクス株を約38%取得し、筆頭株主となるとのニュースが飛び込んで来たので打診買いをした。

Acerグループに同社が加われば、スキャナメーカーから AIoT ソリューション企業へと進化する可能性が出てきた。

Acer の筆頭株主化はすでに発表済みだが、株式取得の完了は2026年初頭の予定で、現時点ではまだ正式にはグループ入りしていないが、その動向が注目される。

Acerの台湾公式サイトでは、株式取得の完了時期は「2026年初頭」とだけ示されており、具体的なサイン日やクロージング日は公表されていない。規制審査の進捗によって日程が変動する可能性があるため、現時点では詳細が伏せられていると考えられる。

 

■ 取締役 丑木 崇(Takashi Ushiki)

主要事業の運営や製品戦略を担当する中核メンバー。 技術・製造・販売の橋渡し役として、事業の実行力を支えている。

 

**■ 監査等委員長(社外取締役)

田中 繁明(Shigeaki Tanaka)** ガバナンス・内部統制の監督を担う。 外部視点から経営の健全性をチェックし、透明性向上に寄与。

 

**■ 監査等委員(社外取締役)

山下 和彦(Kazuhiko Yamashita)** 財務・法務・リスク管理などの観点から経営を監督。 社外の独立した立場で、経営判断の妥当性を評価する役割。

 

**■ 監査等委員(社外取締役)

五十嵐 裕美子(Yumiko Igarashi)** コンプライアンスや内部統制の強化に注力。 多様な視点を経営に取り入れ、企業価値向上に貢献。

 

📌 経営方針

オプトエレクトロニクスの経営方針は、 「技術力強化 × グローバル展開 × ガバナンス強化」 の3本柱で構成されている。

 

① 技術力の強化と高付加価値製品の拡大

光学・電子技術を核に、バーコードスキャナやモジュールの高性能化を推進。 医療・物流・POSなど成長分野向けの製品開発を強化。

 

② グローバル供給体制の最適化

オプトエレクトロニクスは、オランダの Opticon Sensors Europe B.V. を中心に、 米国・欧州・アジア・南米に幅広い販売ネットワークを展開している。

主要な海外拠点は以下の通り:

■ 欧州(販売網の中核)
  • オランダ:Opticon Sensors Europe B.V.(地域統括)
  • イギリス:Opticon Ltd.
  • フランス:Opticon S.A.S
  • イタリア:Opticon S.R.L.
  • ドイツ:Opticon Sensoren GmbH
  • スウェーデン:Opticon Sensors Nordic AB
  • デンマーク:Opticon Denmark ApS
■ 北米・南米
  • アメリカ:Opticon, Inc.
  • ブラジル:Opticon Latin America
■ アジア・オセアニア
  • 台湾:歐光科技有限公司
  • 中国:欧光国际贸易(上海)有限公司
  • フィリピン:Opticon Sensors Philippines Inc.
  • ベトナム:Opticon Vietnam LLC.
  • オーストラリア:Opticon Sensors Pty. Ltd.

 

③ ガバナンスと内部統制の強化

社外取締役・監査等委員を中心に、経営の透明性と健全性を確保。 中長期的な企業価値向上を重視した経営体制を構築。

 

オプトエレクトロニクスの経営陣は、社長が約27%を握る“強いオーナー企業”で技術系メーカーとしてはプラスに働きやすい構造

技術と事業運営に強い社内メンバーと、ガバナンスを担う社外取締役で構成され、技術力強化・海外展開・経営の透明性向上を軸に企業価値の向上を目指している。

 

事業別の事業内容と売上比率

オプトエレクトロニクスの事業は、バーコード読み取り装置を中心とした スキャナ関連製品が売上の大半を占める構造になっている。

主力は、赤外線・レーザー・CCD・CMOSセンサーを用いた 読み取りモジュール(エンジン) と、それらを搭載した ハンディスキャナ・定置式スキャナ・組み込みスキャナ などの完成品で、POS端末、物流機器、医療機器など幅広い産業に供給している。

売上比率としては、読み取りモジュールとスキャナ製品が全体の 約80〜85% を占め、同社の収益の中心となっている。

地域別では、オランダを中心とした欧州販売網、米国子会社、アジアの販売拠点を通じて 海外売上比率が高いのが特徴

特に欧州・北米向けのスキャナ製品が堅調で、海外売上は全体の 60%前後 を占める

国内はPOS・物流向けが安定しているが、成長ドライバーは海外市場にある。

また、同社は台湾委託生産や北海道子会社を活用した 柔軟な生産体制 を持ち、需要変動に対応しやすい構造を維持している。

製品構成は汎用スキャナが中心だが、近年は医療・物流・自動認識分野向けの 高付加価値モデル の比率が高まりつつあり、利益率改善につながっている。

総じて、オプトエレクトロニクスは 「モジュール(部品)+スキャナ(完成品)」を世界市場に展開する事業モデル を持ち、海外販売が成長を牽引する構造になっている。今後は高性能モデルの拡大と海外市場の深耕が収益成長の鍵となる。

 

市場規模と将来性

バーコードスキャナ市場は、EC拡大・物流自動化・医療DXの進展を背景に、世界で年6〜8%の成長が続く見通し。

2024年時点で6,000〜7,000億円規模の市場は、2030年には1兆円規模へ拡大すると予測されている。

  • 特に欧州・北米では倉庫自動化やセルフレジの普及が進み、高性能スキャナの需要が増加。
  • アジアではQR決済の普及が市場拡大を後押ししている。

オプトエレクトロニクスは、欧州を中心とした強力な販売網と、CMOS・レーザー技術を活かした読み取りモジュールで競争力を持つ。組み込みスキャナ、医療向け高付加価値モデルの需要増も追い風で、中期的には安定成長が期待できる。

一方で、中国メーカーとの価格競争や為替変動はリスク要因となる。

総じて、同社は成長市場の中心に位置し、海外販売の拡大と高付加価値製品の比率向上が将来の収益成長を支える構造となっている。

 

3年後の成長モデルと伸びしろ

オプトエレクトロニクスの3年後は、現在の事業基盤を維持しつつ、海外販売の拡大と高付加価値製品の比率向上によって、より“筋肉質な収益モデル”へ移行している可能性が高い。

まず、世界的に物流自動化・EC拡大・医療DXが進む中で、バーコードスキャナ市場は年6〜8%の成長が続く見通しであり、同社の主力である読み取りモジュールやハンディスキャナの需要は堅調に増える。

特に欧州・北米の倉庫自動化やセルフレジ普及は、同社の海外販売網と相性が良く、海外売上比率のさらなる上昇が期待される。

また、近年伸びている医療向けスキャナや高性能2Dスキャナは利益率が高く、製品ミックスの改善によって営業利益率が緩やかに上昇する構造が見込める。台湾委託生産と北海道子会社を組み合わせた柔軟な生産体制は、需要変動に強く、コスト競争力の維持にも寄与する。

一方で、中国メーカーとの価格競争は続くが、同社は“低価格帯ではなく高付加価値領域”に軸足を移しており、差別化が進むほど競争リスクは低下する。

特に組み込みスキャナや医療向けは参入障壁が高く、中期的な成長ドライバーとして機能する

3年後のオプトエレクトロニクスは 「海外販売の拡大 × 高付加価値製品の伸長 × 生産体制の最適化」 によって、売上・利益ともに安定成長するモデルへ進化していると考えられる。市場環境の追い風と製品ミックス改善が重なることで、同社にはまだ十分な伸びしろが残されている。

 

長期的優位性(競合他社)

オプトエレクトロニクスは、バーコードスキャナ市場において 「中価格帯 × 高品質 × グローバル販売網」 という独自のポジションを確立している。

キーエンスやデンソーウェーブのような高価格帯メーカーと、中国勢の低価格帯メーカーの中間に位置し、品質と価格のバランスが良い点が長期的な強みとなっている。

特に、同社が得意とする 読み取りモジュール(エンジン) は、POS端末や医療機器、物流機器など多様な機器に組み込まれるため、景気変動に左右されにくい安定した需要がある。

また、欧州を中心とした自社販売網は競合より強固で、現地サポート力が高い点も差別化要因となる。

生産面では、台湾委託生産と北海道子会社を組み合わせた柔軟な供給体制を持ち、コスト競争力と供給安定性を両立している。医療・物流など成長分野での実績もあり、今後も高付加価値領域での優位性が続くと考えられる。

📊 競合比較表(簡素版)

企業名価格帯技術力販売網強み弱み
オプトエレクトロニクス中価格帯高い(CMOS・レーザー)欧州中心に強い自社網モジュールに強み、品質と価格のバランスブランド力は大手に劣る
キーエンス高価格帯非常に高い国内中心、海外も強い高性能・高付加価値価格が高く採用ハードルが高い
デンソーウェーブ中〜高価格帯高い(QRコード発祥)自動車系・産業系に強い産業用途の信頼性汎用スキャナでは競争激しい
Zebra(米国)中〜高価格帯高い北米に強い物流・倉庫向けに強み欧州・アジアで競争激化
中国メーカー(Newland等)低価格帯中程度アジア中心圧倒的な低価格品質・耐久性・サポートが弱い

オプトエレクトロニクスは、高品質×中価格帯×欧州販売網という独自ポジションにより、キーエンスや中国勢と差別化された長期的優位性を持ち、特に読み取りモジュールと医療・物流向けで強みを発揮する。

 

財務3表(BS・PL・CF)

1.貸借対照表 (BS)

決算年月日2020年11月30日2021年11月30日2022年11月30日2023年11月30日2024年11月30日
現預金等4,4075,835up6,652up6,098down4,702down
その他流動資産5,0213,865down5,514up6,750up6,135down
有形固定資産2,4252,263down2,261down2,265up2,254down
無形固定資産286288up278down276down270down
投資等333519up452down176down153down
総資産12,47112,770up15,157up15,564up13,514down
流動負債4,6054,099down5,287up4,873down4,390down
固定負債3,5683,625up3,985up5,123up4,222down
資本(純資産)合計4,2995,046up5,885up5,567down4,902down
負債資本合計12,47112,770up15,157up15,564up13,514down

※単位:百万円

**① 総資産が2024年に大きく減少(15,564 → 13,514)

→ 成長投資の縮小・資産圧縮が進んでいる**

2020〜2023年は総資産が右肩上がりだったが、2024年に 約2,000百万円の減少

主因は以下の通り:

  • 現預金の大幅減少(6,098 → 4,702)
  • 投資等の縮小(176 → 153)
  • その他流動資産の減少(6,750 → 6,135)

→ 成長投資よりも資産圧縮・キャッシュアウトが目立つ。

 

**② 現預金が2年連続で減少

→ キャッシュ創出力の低下が懸念**

2022年をピークに、

  • 2023年:6,652 → 6,098
  • 2024年:6,098 → 4,702

2年連続で減少

営業CFが弱い、または在庫増・売掛金増などでキャッシュが拘束されている可能性が高い。

→ 手元流動性の低下は短期的な財務リスク。

 

**③ 流動負債は減っているが、資本(純資産)も減少

→ 収益力の低下が純資産を押し下げている**

純資産は

  • 2022年:5,885
  • 2023年:5,567
  • 2024年:4,902

2年連続で減少

これは

  • 当期純利益の赤字
  • 配当による純資産減少
  • 評価損の計上

などが原因と考えられる。

→ 自己資本の減少は中期的な財務健全性の課題。

 

**④ 投資等が継続的に縮小

→ 成長投資が弱く、将来の収益源が細る懸念**

投資等は 333 → 519 → 452 → 176 → 153 と 5年間で大幅に縮小

これは

  • 事業投資の抑制
  • 有価証券の売却
  • 子会社関連の整理

などが想定される。

→ 成長余地を広げるための投資が弱いのは中長期の課題。

 

**⑤ 固定負債が2023年に急増 → 2024年に減少

→ 一時的な借入増の反動**

固定負債は 3,985 → 5,123(2023年) → 4,222(2024年)

と推移。

2023年に借入を増やし、2024年に返済した可能性が高い。

→ 借入依存度は高くないが、資金繰りの調整が行われている。

 

📌 総合評価(問題点のまとめ)

  • 現預金の減少 → 手元資金の低下
  • 純資産の減少 → 収益力の低下が反映
  • 投資等の縮小 → 成長投資の弱さ
  • 総資産の減少 → 事業規模の縮小傾向

“守りに入ったBS”になっており、成長性より安全性を優先している状態。

📌 総合評価(超簡素版)

  • 現預金が減少 → 手元資金が弱い
  • 純資産が減少 → 収益力が落ちている
  • 投資が縮小 → 成長余力が細っている
  • 総資産が減少 → 事業規模が縮小傾向

全体として“守りの財務”に転じている。

📌 今後の課題(超簡素版)

  • キャッシュ創出力の回復(在庫・売掛の改善、利益率向上)
  • 純資産の回復(高付加価値製品と海外販売の強化)
  • 成長投資の再開(医療・物流・組み込み向け)
  • 生産体制の最適化(台湾×北海道のバランス調整)

手元資金・純資産・投資が減り守りの財務に傾いたため、今後はキャッシュ改善と成長投資の再開が最大の課題となる。

 

2.損益計算書 (PL)

決算年月日2020年11月30日2021年11月30日2022年11月30日2023年11月30日2024年11月30日
売上高6,5508,318up7,211down6,878down6,343down
売上合計6,5508,318up7,211down6,878down6,343down
売上原価3,9834,708up4,207down4,025down3,860down
その他費用収益3,8213,162down3,052down3,669up3,154down
費用等合計7,8047,869up7,259down7,693up7,015down
売上総利益2,5673,610up3,005down2,853down2,482down
税引前当期利益-1,338512up179down-491down-614down
当期純利益-1,254
(-19.2%)
448up
(5.4%)up
-48down
(-0.7%)down
-815down
(-11.9%)down
-672up
(-10.6%)up
当期純利益-1,254448up-48down-815down-672up

※単位:百万円

📌 PLの総合評価

  • 売上が3年連続で減少(2022 → 2023 → 2024)
  • 売上総利益も減少 → 粗利率が悪化
  • その他費用収益が安定せず、収益構造が弱い
  • 税引前利益が3年連続マイナス
  • 当期純利益も3年連続赤字(2022〜2024)

“売上減 × 粗利悪化 × 赤字継続”という典型的な収益悪化パターン。

📌 今後の課題(超簡素版)

① 売上の底打ちと回復
  • 海外販売の強化
  • 医療・物流など成長分野への集中
  • 低価格帯との競争回避(高付加価値へシフト)
② 粗利率の改善
  • 高付加価値スキャナの比率アップ
  • 生産コストの最適化(台湾×北海道のバランス)
  • 不採算製品の整理
③ 赤字の解消(利益体質の再構築)
  • 固定費の削減
  • 販売管理費の見直し
  • モジュール事業の強化で安定収益化

売上減少と粗利悪化により赤字が続いており、今後は売上回復・粗利改善・高付加価値化が最大の課題となる。

 

3.キャッシュフロー (CF)

決算年月日2020年11月30日2021年11月30日2022年11月30日2023年11月30日2024年11月30日
営業活動によるキャッシュフロー-671,369up-123down-1,491down-251up
投資活動によるキャッシュフロー-275-239up-251down-338down-21up
財務活動によるキャッシュフロー-216-119up454up1,297up-1,024down
現預金等の換算差額66217up574up240down-24down
現預金等純増減額-4921,228up654down-291down-1,320down

※単位:百万円

📌 CFの総合評価(超簡素まとめ)

① 営業CFが不安定で、直近3年はほぼマイナス
  • 2021年だけ大きくプラス
  • 2022〜2024年は 連続マイナス本業でキャッシュが稼げていない状態。

 

② 投資CFは毎年マイナスだが、年々縮小
  • 設備投資や成長投資が 年々減っている投資余力が低下、将来の成長源が細る懸念。

 

③ 財務CFは2023年だけ大きくプラス(借入増)
  • 2023年:+1,297(借入で資金調達)
  • 2024年:-1,024(返済で資金流出) → 資金繰り調整のための一時的な借入があった可能性が高い。

 

④ 現預金は2022年以降3年連続で減少
  • 2022:+654
  • 2023:-291
  • 2024:-1,320(大幅減)手元資金が急速に減っており、財務の安全性が低下。

📌 総合分析(財務3表のストーリー)

現在の同社は、本業で十分なキャッシュを生み出せておらず、投資も縮小傾向にある中で、一時的に借入で資金をつないだものの、その後に現預金が大きく減少しており、全体として“資金繰りが弱い状態”にある。

今後はまず、営業キャッシュフローを黒字化し、在庫や売掛金の改善によってキャッシュの拘束を減らすことが最優先となる。また、成長投資を再開できるだけの資金余力を確保し、持続的な成長につながる財務基盤を整えることが求められる。

 

📝まとめ

オプトエレクトロニクスは、長年にわたり光学×電子技術を軸に世界市場へ展開してきた企業であり、特に欧州を中心とした販売網と読み取りモジュール技術に強みを持つ。

一方で、直近の財務データを見ると、売上減少・粗利悪化・赤字継続・現預金の減少 が重なり、財務は“守り”へシフトしている状況が明確だ。

本業のキャッシュ創出力が弱まり、投資も縮小しているため、まずは 営業CFの黒字化と在庫・売掛金の改善 によるキャッシュ回復が最優先課題となる。

また、医療・物流向けなど高付加価値領域の強化と海外販売の深耕によって、利益率の改善と純資産の回復 を図る必要がある。

中長期では、同社が得意とするモジュール事業と欧州販売網を軸に、高付加価値モデルへのシフトと海外比率のさらなる拡大 が成長ドライバーとなる。

財務面の立て直しと成長投資の再開が実現すれば、再び“筋肉質な収益モデル”へ戻る余地は十分に残されている。

📊 株価指標(追記)

以下は最新データを基にした主要指標のまとめ。

指標数値補足
PER(予想)ー倍赤字のため算出不可
PBR(実績)0.28倍純資産比で大幅割安水準
配当利回り(予想)0.00%無配継続
自己資本比率35.8%財務はやや弱め
ネットキャッシュ率※計算可能だが、借入・現預金の詳細が必要現預金は減少傾向

🔍 指標の読み解き(簡潔版)

  • PBR 0.28倍 → 市場からの評価はかなり低い。資産価値から見ても割安。
  • PER算出不可 → 赤字継続のため利益ベースでの評価ができない。
  • 無配 → キャッシュ確保を優先している状態。
  • 自己資本比率 35.8% → 安全性はギリギリ中間レベル。
  • 現預金減少 → 財務の弱さが株価低迷の主因。

追記:12月23日、Acer台湾メーカーとの資本提携を引き続き材料視で買ったが、来年にかけて大きな動きがあるのかな。

Acer がオプトエレクトロニクス株を約38%取得し、筆頭株主となることで、同社はスキャナメーカーから AIoT ソリューション企業へと進化する可能性が出てきた。

Acer の世界的な販売網と資本力、Opticon の光学・読み取り技術が組み合わされば、これまで届かなかった市場にも踏み込める。

財務面には課題が残るものの、Acer との資本提携は同社にとって数少ない“成長の起点”になり得ると考えている。

Acer の筆頭株主化はすでに発表済みだが、株式取得の完了は2026年初頭の予定で、現時点ではまだ正式にはグループ入りしていない。