倒産鑑定分析リポート

倒産鑑定分析:東京機械製作所(6335)📰新聞が減る世界で、生き残れるか

① 結論(先に言う)

現時点で即死リスクは低い。
だが、構造的衰退産業にいる以上、長期の体力勝負。

倒産より怖いのは「慢性低収益→資本削り」
時間が敵になるタイプだ。


② 収益体力チェック

  • 売上 46.2億(▲11.8%)
  • 営業利益 0.25億(▲93.6%)
  • 経常利益 0.68億
  • 最終損失 ▲0.29億

営業利益率、ほぼゼロ。
これは“安全圏”ではない。ギリギリ生存圏だ。

前年は営業4億近くあった。
つまり今期は受注タイミング依存+固定費圧迫。

印刷機は大型案件型。
売上の波が荒いのは業界特性だが、問題は構造的縮小。

新聞部数は減り続ける。これは不可逆。
ここを無視すると分析はただの希望的観測になる。


③ 財務耐久力

  • 総資産 160億
  • 純資産 92.7億
  • 自己資本比率 50.8%

まず合格ライン。

現預金 81.2億。
これは強い。かなり厚い。

有利子負債は開示なしだが、支払利息がほぼゼロなので
実質無借金に近い可能性高い。

退職給付負債 23.2億。
ここは重い。将来の固定爆弾。

契約負債 27.5億。
前受金増加=受注はある。
ここはポジティブ。

資金ショート型倒産は現時点でほぼない。


④ 危険因子

1️⃣ 業界そのものが縮小
新聞は長期減少。
設備更新需要も徐々に細る。

2️⃣ 単一セグメント
印刷機械関連のみ。
分散なし。一本足打法。

3️⃣ 営業利益の薄さ
利益率1%未満は危険水域。
赤字転落は簡単。

4️⃣ 訴訟関連
一部勝訴で19億超の債権あり。
4.1億回収済み。

ジョージの宿題:
残債権の回収可能性。相手の財務状況を調査。
これが回収不能なら織り込むべき。


⑤ 未来の芽(救い)

FA(Factory Automation)事業。
AMR、AGV、防衛向け自動化。

防衛案件を初受注。
これは小さいが、方向性は正しい。

  • 新聞は“守り”。
  • FAは“攻め”。

ジョージの宿題:
FA事業の売上比率と利益率を確認。
まだ誤差レベルなら、未来は遠い。

解答:FA事業への「人の移植」

 部長級の人事でも、旧マーケット開拓部長を「生産管理部長」へ、旧サービス部長を「事業開発部主査」へ配置。

古い筋肉(新聞事業)のリーダーたちを、新しい筋肉(生産管理・新事業開発)の構築に再配置した。

まだ売上比率は小さいが、**「稼げる体制への組み換え」**は着実に始まっている。

追記:2026年4月付の組織変更が示す「本気度」

単なるスローガンではない。2026年4月1日付で、長年新聞輪転機ビジネスを支えてきた「マーケット開拓部」と「サービス部」を廃止。

これらを新設の**「購買・事業開発部」へ統合・移管する。

つまり、従来の新聞市場の開拓や保守に割いていた人的リソースを、FA事業を含む「新規事業開発」へ物理的にシフト**させた。

これは脱皮に向けた明確な意思表示だ。


⑥ 最悪シナリオ仮説

  • 新聞更新需要が急減。
  • 売上30%減。
  • 営業赤字2〜3年継続。

自己資本比率はまだ耐える。
だが利益剰余金が削られる。

倒産より先に
「無配継続+株価低迷10年」コース。

配当ゼロはすでに現実。


⑦ 生存確率評価

財務安全性 ★★★★☆
収益安定性 ★★☆☆☆
構造成長性 ★☆☆☆☆(本業)
転換可能性 ★★☆☆☆
倒産リスク 低〜中期低

“死ににくいが、伸びにくい”。


⑧ 株価より重要な問い

この会社は
新聞機械会社の延命体か、
FA企業への脱皮前夜か。

そこが分水嶺。

倒産鑑定としては

  • 現金厚い
  • 借金軽い
  • 即死なし

だが

  • 本業は衰退
  • 利益薄い
  • 未来は不確実

つまり
「時間を買う会社」

指数急落+営業赤字懸念で
市場が過剰に悲観したときが狙い目。

平時で買う銘柄じゃない。

恐怖の中で拾う銘柄だ。

最終審判:延命体か、脱皮前夜か 組織図から「新聞」の文字が消え、「事業開発」が中心に据えられた今回の異動を見る限り、同社は**「FA企業への脱皮」を経営の最優先事項**に据えたと判断できる。

財務の厚み(スタミナ)があるうちに、人的リソース(筋肉)を成長競技へ移植できるか。

2026年度はこの「移植手術」の成否を占う重要な1年になる。