このレポートの目的は慰めではない。
ただ一つ。
「この城は、最悪の不況で何年持つか」
それを数字で測る。
目次
■ 結論:死なない。しかし、酔う。
中央可鍛は、
鉄壁の鎧を着た、船酔い体質の兵士だ。
- 自己資本比率66.8%。
- 現預金75.7億円。
- 借入は軽い。
短期で死ぬ会社ではない。
だが――
景気が荒れれば、利益は簡単に崩れる。
- 倒産リスクは低い。
- 株価暴落リスクは高い。
ここを混同するな。
■ 収益の正体:本物か、追い風か
- 営業利益14.5億円(前年比2.3倍)。
- 営業利益率5.1%。
数字は美しい。
だが、過去10年の平均営業利益率は1.2〜1.3%。
これが現実の実力だ。
つまり今は、
- 「筋肉がついた」のではなく
- 「追い風で速く走れた」可能性が高い。
鋳物は固定費が重い。
売上が少し減るだけで利益は吹き飛ぶ。
黒字だから安全?
違う。
どれだけ簡単に赤字化するかが本質だ。
■ 財務体力:この会社の最大の武器
- 現預金:75.7億円
- 年間固定費(概算):30〜40億円
極端な仮定をする。
売上ゼロ。
それでも約2.5年は心臓が止まらない。
これは強い。
倒産鑑定において「時間」は最大の武器だ。
この猶予期間がある限り、即死はない。
■ ストレステスト:地獄を想定せよ
- 自動車生産▲40%
- 売上▲35%
- 営業赤字▲20億円が2年続く
この場合、
▲20億 × 2年 = ▲40億
現金は大きく削られ、耐久年数は1.5年に縮む。
即死はしない。
だが資本は確実に削られる。
この会社は「倒れない」が「削られる」。
ここが重要だ。
■ 構造的弱点:トヨタ依存という諸刃
売上の多くはトヨタグループ向け。
これは強みであり、同時に最大のリスク。
EV化が進めば、
エンジン系鋳物は縮小する。
同社は電動車向け部品への転換を進めているが、
現状の利益の主軸は依然として従来型部品。
減る量が、増える量を上回る期間が数年続く可能性は高い。
構造転換は一夜では起きない。
■ 中国リスク
中国(豊田・昆山・天津)に拠点あり。
問題は需要減少時だ。
固定資産は動かない。
稼働率が落ちれば、それは固定費の塊になる。
台湾有事を感情で語るな。
見るべきは「稼働率」と「固定費比率」だ。
■ 資本効率というもう一つの弱点
過去10年のROEは概ね2〜4%台。
資本を効率よく回す企業ではない。
だからPBR0.3〜0.4倍で放置される。
市場は残酷だ。
生き残る企業と、評価される企業は別物。
■ 本当の怖さ
中央可鍛のリスクは倒産ではない。
市場からの放置だ。
景気敏感株は暴落時に真っ先に売られる。
城は残る。
だが城の値札は半分になる。
それがこの銘柄のリアルだ。
■ 最終判定
財務耐久力:高
収益安定性:低
倒産確率:極低
株価変動リスク:高
これは防御株ではない。
耐久型の景気敏感株だ。
■ ジョージの戦略との相性
平時に触る銘柄ではない。
市場が恐怖で歪み、
この鉄壁の財務すら「紙くず扱い」された瞬間。
その絶望の淵で拾う。
これが正しい距離感だ。
