倒産鑑定分析リポート

倒産鑑定分析:中央可鍛工業(5607)鋳物屋は景気後退に耐えられるか

このレポートは「安心材料を探す」ためのものではない。
目的はただ一つ。

この会社は不況下で何年生き残れるかを冷酷に測ることだ。


■ 結論(暫定)

現時点で即時倒産の可能性は低い。

しかしそれは「財務が厚いから」という印象論ではなく、
“何年耐えられるか”を計算して初めて意味を持つ。

中央可鍛工業は黒字回復局面にある。
だがこの回復が構造改善なのか、単なる景気循環なのかで評価は180度変わる。

  • 倒産リスクは低い。
  • 株価暴落リスクは高い。

ここを混同してはいけない。


■ 収益構造の分解

  • 売上高 283億円(前年比+9.1%)
  • 営業利益 14.5億円(前年比+130%)
  • 営業利益率 約5.1%

数値だけ見れば立派な回復だ。
しかし問題は“増益の質”である。

可鍛事業はほぼ自動車向け部品。
市況回復と生産台数増の影響を強く受ける。

ここで問うべきは以下だ。

ジョージの宿題:
・営業増益の内訳(数量増/価格転嫁/コスト削減の寄与割合)
・一過性要因の有無
・過去10年の平均営業利益率

もし今回の改善が市況回復頼みなら、
次の景気後退で簡単に消える。

黒字だから安全、ではない。
“どのくらい簡単に赤字化するか”が本質だ。


■ 財務耐久力の検証

  • 総資産 453億円
  • 純資産 304億円
  • 自己資本比率 66.8%

この水準は優秀。
だが自己資本比率は「安心感」を与える数字にすぎない。

重要なのは流動性だ。

長期借入金 29.9億円
有利子負債は純資産に対して軽い。

現預金は約75億円(※推測値)

ここで推測は許されない。

ジョージの宿題:
・直近四半期BSで現預金の正確な数値を確認
・短期借入金の有無
・返済スケジュール

さらに重要なのはこれだ。

ジョージの宿題:
・年間固定費(人件費+減価償却+販管費固定部分)の算定
・営業CFがゼロの場合、75億円で何年耐えられるかの計算

倒産鑑定は「何年生き延びられるか」を出して初めて完成する。


■ ストレステスト(甘さ排除)

最悪シナリオを想定する。

  • 自動車生産▲40%
  • 売上▲35%
  • 営業赤字▲20億円
  • 為替逆風
  • 借入増加

この状態が2年続いたらどうなるか。

営業赤字▲20億×2年=▲40億
純資産304億はまだ厚い。

しかし問題はキャッシュだ。
営業CFが大幅マイナスなら、現預金は急速に減る。

ジョージの宿題:
・リーマン期の売上減少率
・コロナ初期の営業利益推移
・過去最大赤字額

歴史は最高のストレステストだ。


■ 依存構造の危険性

可鍛事業の自動車依存度は高い。
EV化は鋳物部品に逆風となる可能性がある。

ジョージの宿題:
・EV化による部品点数減少の影響度
・同社製品のEV搭載比率
・顧客上位5社の売上比率

中国需要も重要だ。

台湾有事リスクは感情論で語ってはいけない。

ジョージの宿題:
・中国売上比率
・中国工場の資産規模
・代替生産拠点の有無

地政学は物語に酔いやすい。
数字で縛れ。


■ 配当と資本政策

年間配当16円予想
EPS120円予想

配当性向は低い。
内部留保型。

これは守備的だが、
裏を返せば資本効率は高くない。

ROEを確認しなければならない。

ジョージの宿題:
・直近ROE
・過去10年平均ROE

清原式は生存確率重視だが、
生き延びるだけの企業は株価が伸びない。


■ 本当の怖さ

中央可鍛の本質的リスクは倒産ではない。
景気循環だ。

指数暴落局面では
景気敏感株は真っ先に売られる。

つまりこの銘柄は
“企業が死ぬリスク”より
“株価が半減するリスク”の方が高い。

倒産鑑定の結論はこうなる。

企業は生き残る確率が高い。
株主は痛みを伴う確率が高い。

ここを理解して保有するなら合理的だ。
理解せず持つなら危険だ。


■ 最終評価(暫定)

財務耐久力:高
収益安定性:中
景気耐性:低
倒産確率:低
株価変動リスク:高

この銘柄は「防御型」ではない。
“耐久型の景気敏感株”だ。