マーケット分析

裁定買いが主導する“実需なき上昇”

現物と裁定の乖離が示す、いま市場で起きていること

2月中旬以降、日経平均は高値圏で推移している。

しかし、上昇の裏側を丁寧に追っていくと、実需の買いが伴わない“裁定主導の上昇” が進んでいることが分かる。

以下は、自分が日々記録している「現物売買」と「裁定売買」の対比表だ。

現物売付け買付裁定売り裁定買い売買日
2/213,501050,640945,401
2/327,15214,50644,352842,223
2/49,63521,26950,620888,782
2/51,24646452,765902,580
2/61,7075,94064,936983,340
2/73,63973562,7971,023,830
2/812,5157,976618101,038,621
2/9
2/10
2/11
2/122,8549,36764,9381,052,301
2/1315,25135,44956,7441,079,792
2/14
2/15
2/169,83513,38255,5691,100,4021/10
2/1712,3094,28561,6401,081,4682/12
2/1868,40195,54548,1201,126,9452/13
2/196,3265,19350,2981,135,5962/16
2/202,9264,65246,7891,132,5882/17
2/21
2/22
2/23
2/2435111,32151,4841,139,1442/18
2/251,4596,65450,5571,146,1002/19
2/262,0984,18645,7101,176,8062/20

この表を読み解くと、いまの相場の質がどれほど脆いかが浮かび上がってくる。


■ 裁定買いが積み上がる一方、現物買いは弱い

2/12〜2/19にかけて、裁定買い(先物買い)が連続して増加している。 しかし同じ期間の現物買付は小さく、むしろ現物売りが断続的に出ている。

つまり、

  • 先物は買われている
  • 現物は売られている

という、典型的な「裁定主導の上昇」が起きている。

実需の買いが伴わない上昇は、持続性に乏しい。


■ 裁定売りは減少し、買い戻しが指数を押し上げている

裁定売り(先物売り)は全体的に低下している。 これは、過去に積み上がっていた裁定売りポジションが解消されていることを意味する。

裁定売りの解消=先物の買い戻し → 指数の下支え要因

ただし、これは“新しい買い”ではなく、あくまで“過去の売りの手仕舞い”にすぎない。


■ 実需はむしろ売り越し

表を見ると、2/15〜2/19にかけて現物売りが連続して出ている。 特に2/17〜2/19は売りが目立つ。

つまり、

実需は売っているのに、指数は上がっている

という歪んだ構造が続いている。


■ 裁定買い残の積み上がりは、後の“解消売り”の種になる

裁定買いが積み上がるということは、後で必ず

  • 現物売り
  • 先物売り

のセットで解消される。

いまの相場は、まさにその“売りの種”を積み上げている段階だ。


■ いまの相場の本質

まとめると、現在の市場は次のような状態にある。

  • 裁定買い(先物買い)による人工的な上昇
  • 実需は売り越しで、上昇に参加していない
  • 裁定買い残が積み上がり、後の解消売りが大きくなる構造
  • 上昇の質が悪く、下落の準備が進んでいる

 

指数は強く見えるが、その中身は空洞化している。


■ 投資家としてどう見るべきか

私はこの状況を、次のように解釈している。

「上がっているのに買われていない相場」 つまり、上昇の最終局面でよく見られる裁定主導の歪み。

実需が買っていない上げは長続きしない。 裁定買い残が積み上がっている以上、どこかで一気に解消売りが出る。