投資備忘録

清原式を再設計する ― NC0.7信仰を超え、資産構造で待ち伏せる ―

1. 清原式の本質は「歪み測定装置」である

清原式の核心はシンプルだ。

企業価値の歪みを、
純資産の裏付けで測る。

そのための指標がネットキャッシュ比率(NC比率)。

NC比率 =(現預金 + 投資有価証券×70% − 有利子負債) ÷ 時価総額

この数値は問いかけている。

「この株価は、どれだけ現金で守られているのか?」

清原が異様にこだわったのが
NC1.0 と NC0.7。

だが重要なのは数字そのものではない。
市場心理の位置だ。

私はこう定義する。

  • NC1.0超 = 市場の過剰悲観
  • NC0.7超 = 明確な割安圏
  • NC0.5〜0.6 = 無関心ゾーン
  • NC0.3前後 = 正常評価圏

2. 現在のNC1以上銘柄は“既に完成形”

現時点でNC1以上の銘柄は以下。

  • 中央可鍛工業 NC7.54
  • 東京機械製作所 NC1.92
  • 北恵 NC1.24
  • アスモ NC1.09

どれも財務は堅い。
悪くない。むしろ良い。

だが正直に言う。

「形が出来上がっている」。

すでに資産バリューが顕在化している。
市場もある程度織り込んでいる。

ここからさらに割安感を出すには、
株価が落ちる必要がある。

つまり問題はここだ。

“どこまで落ちたら、再び歪みになるのか?”


3. NC0.7指値という戦略

そこで使うのが
NC0.7を一つの目安とした逆算思考。

NC比率を0.7にする株価はいくらか?

それを算出したのが
「NC0.7指値」

これは感覚ではない。
数式で待ち伏せする戦略だ。

現在価格が適正でも構わない。

市場が崩れたとき、
無関心が恐怖に変わったとき、
その瞬間に刺さる価格をあらかじめ置く。

例として:

  • 中央可鍛工業
    現在724円 → NC0.7水準は9,410円(※単位換算ベース)
  • 東京機械製作所
    現在522円 → NC0.7水準 1,545円
  • 北恵
    現在897円 → NC0.7水準 1,710円
  • アスモ
    現在401円 → NC0.7水準 704円
  • (※単位差は各社開示ベース)

ここで重要なのは数字の大小ではない。

“自分の安全圏を価格で定義した”ことだ。


4. NC0.5〜0.6は無関心ゾーン

NC1は完成形。
NC0.7は明確割安。

だが本当に市場が放置しているのは
NC0.5〜0.6だ。

このゾーンには2種類ある。

  • 本当にダメな企業
  • 退屈すぎて忘れられた企業

市場は物語を好む。
地味な企業は嫌われる。

だが退屈と脆弱は違う。


5. 自分の除外ルール

ここを明確にする。

  • NC0.5未満は原則除外。
  • 営業CF3年累計マイナスは除外。
  • 借入依存型は除外。

0.5〜0.6を攻める条件は:

  • 長期借入金ゼロまたは極小
  • 1年以内返済予定ほぼなし
  • 短期借入なし
  • 営業CF安定プラス
  • 固定資産過大でない

これを満たす0.5は
“安全な0.5”

借入で薄められた0.6は罠。


6. 歪みと構造

清原式は
「歪みが解消されたら売る」。

自分はこう再定義する。

構造が壊れなければ保持。

構造とは:

  • 営業CF創出力
  • 参入障壁
  • 資本配分
  • 還元姿勢

割安は入口。
構造は持続性。


7. 小型株の地雷判定

排除条件を明文化する。

  • 営業CF3年平均マイナス
  • 固定資産が過大
  • 社長報酬が利益水準に対し過大
  • 政策株が純資産の過半
  • 還元実績なし

 

キャッシュがあるだけでは足りない。

退屈で、誠実で、減らない企業。

ここに資産株の本質がある。


8. 結論

  • NC1は安心。
  • NC0.7は安全圏。
  • NC0.5は思考停止の盲点。

完成形を追いかけるのではなく、
崩れたときの価格を決めて待つ。

投資は予想ではない。
価格と構造の設計だ。

市場が騒ぐとき、
あらかじめ決めた指値だけが静かに仕事をする。

それがNC0.7指値という戦略。

割安を祈らない。
割安を数式で待つ。

そこまで来ると、
相場は少しだけ静かに見える📡📈