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読書感想文:Netflixを「観る側」から「所有する側」へ――4冊の視点から紐解く投資価値

テレビよりもNetflix。自分の時間を最も奪っているサービスに投資するのは、投資の基本だ。

しかし、一時の流行ではなく「10年後も覇者であり続けるか」を見極めるため、私は図書館から性質の異なる4冊を借りてきた。

1. 『不可能を可能にせよ!』:生存本能の源泉

共同創業者のマーク・ランドルフによる一冊。DVD宅配から始まった同社が、いかに「絶対無理」と言われた壁を突破してきたかが描かれている。

  • 投資ポイント: この会社には「既存の成功を自ら壊してでも次に進む」という破壊的DNAが根付いている。ストリーミングへの移行を成功させた柔軟性は、今も失われていないかを確認できる。

2. 『NO RULES』:最強の組織という「資産」

現CEOリード・ヘイスティングスが語る、Netflixの異常なまでの「自由と責任」。

  • 投資ポイント: 凡庸な社員を排除し、トッププレイヤーのみを集める「タレント密度」の高さ。これは貸借対照表(BS)には載らないが、長期的な収益を生む最強の無形資産だ。清原式の数字には出ない「稼ぐ力の源泉」がここにある。

3. 『Netflix コンテンツ帝国の野望』:覇権への執念

GAFAをも脅かす存在へと急成長した攻めの歴史。

  • 投資ポイント: 巨額のコンテンツ投資を続けられるキャッシュフローの健全性と、世界中にローカライズされた作品を供給できる「プラットフォームの広がり」が投資判断の鍵となる。

4. 『巨大テック企業 無敵神話の嘘』:冷徹な懐疑の視点

あえて読むべき一冊。「Netflixは競合(Disney+等)に勝てない」「キャッシュを燃やし続けているだけ」という批判的な分析が並ぶ。

  • 投資ポイント: 他の3冊が「光」なら、これは「影」。制作費の高騰や会員数の伸び悩みといった、投資家が直面する**リスク(ダウンサイド)**を冷静に突きつけてくれる。


結論:ジョージの投資対象になり得るか?

この4冊を統合すると、Netflixへの投資判断は以下の2点に集約されます。

① 「収益銘柄」としての判断

『巨大テック企業 無敵神話の嘘』が指摘する通り、制作費に巨額を投じるモデルは「現預金」を激しく消費します。ジョージが重視する「清原式」で計算すると、NC比率は低く出る可能性が高いです。しかし、『NO RULES』にあるような組織の強さが、その投資を上回る利益(ARPU:1人当たり売上)に変換できているなら、**「先行投資型の収益銘柄」**として検討の余地があります。

② 「独自性」の判断

競合が乱立する中で、Netflixにしかできない「中毒性のある体験」を提供し続けられるか。創業時の泥臭い突破力(『不可能を可能にせよ!』)が、今も経営陣に残っているか。