目次
― デザインに騙されず、資産の匂いを嗅ぎ分ける手順 ―
投資家が企業のHPを見る時、
それは「ファン」として見るのではない。
企業の本当の価値は、
「綺麗なトップページ」ではなく、
その裏側に隠された数字と事実に眠っている。
自分が実践している、
HPチェックの「4つのステップ」は以下のとおり。
STEP0:まず捨てろ
- トップページ
- 社長メッセージ
- 中計スライドのビジョンページ
- SDGs/ESGの装飾ページ
STEP 1:IRライブラリへ直行せよ
ココがポイント
トップページの商品紹介や社長の笑顔は、投資家にとっては「ジャミング(ノイズ)」だ。
まずは**「IR情報」>「IRライブラリ」**へマウスを走らせる。
見るべきもの:
- 「決算説明資料」
- 「コーポレート・ガバナンス報告書」
チェック項目:
- 会社が「今、何に困っているか」ではなく「どこに金を突っ込もうとしているか」を資料のトーンから読み取る。
- PBR1倍割れ改善への取組: この資料が独立して存在するか? 存在しなければ、その会社はまだ「株主の方を向いていない」可能性が高い。
STEP 2:キャッシュの「鮮度」を鑑定する
ココがポイント
決算短信の「貸借対照表(BS)」を開き、資産の部を凝視しろ。
- ネットキャッシュの算出: (現預金 + 短期保有の有価証券)- 有利子負債。
- 投資有価証券の正体: 多くの日本企業は、付き合いで他社の株(持ち合い株)を持っている。HPの「コーポレート・ガバナンス報告書」には、その売却方針が書かれている。「削減を進める」と明記されていれば、それは将来の特別利益(お宝)の種だ。
「どこに資金を投入しているのか?」を読むのが目的。
STEP 3:Googleマップを併用した「土地の含み益」捜査
ココがポイント
帳簿上の土地価格は、何十年も前の取得価額のままであることが多い。
手順: HPの「事業拠点」や「会社概要」から工場の住所をコピー。
- Googleマップ(航空写真): 敷地の広さを確認しろ。都心に近いか? 近くに大型物流センターができていないか?
- 仮説: 帳簿で1億円の土地が、今の相場なら20億円で売れる……この「差額」こそが、投資家が拾うべきアノマリーの正体だ。
※注意
・操業中の工場用地は「清算価値」であり、即座に現金化できるわけではない
・地方立地、用途制限、代替不可拠点は大幅ディスカウントが必要
・「含み益がある」≠「株価が動く」
→ これは“下値の安全弁”であって、“上昇エンジン”ではない。
STEP 4:「現場の体温」をニュースから拾う
ココがポイント
最後に「ニュースリリース」や「採用情報」を斜め読みする。
- 提携・受注リリース: オプトの「エイサー提携」のように、実利が伴う動きがあるか。
- 採用の勢い: 不況なのにエンジニアを募集しているか? 逆に、リストラが始まっていないか?
体温が高い会社🙆♂️
- 「自社投資」
- 「内製化」
- 「長期契約」
- 「継続受注」
- 採用(不況下での技術職・IT職)
体温が低い会社❌
- 「構造改革」
- 「選択と集中」
- 「早期退職」
- 採用ページの更新停止
この時点で手を引く判断🙅
- 体温が低いサインが複数出ている
- 還元・投資・採用のどれも止まっている
- 「改革」「選択と集中」ばかりが並ぶ
→ この場合、
資産があっても“時間が敵”になる
無理に追わない。
🏁 まとめ:HPは「答え合わせ」の場所
HPを見る目的は、自分の仮説が正しいかを**「物的な証拠」**で固めることだ。
- 数字(BS)で理論武装し、
- 場所(土地)で裏付けを取り、
- 姿勢(還元)でトリガーを確認する。
デザインが古臭い会社ほど、宝物が手付かずで残っているアノマリーがある。
数字と場所と体温。
この3点を淡々と確認し、
仮説が崩れなければ“候補に残す”。
崩れたなら、何も感じずに閉じる。
それ以外の使い道は、投資家にはない。
