目次
― なぜ「逆張り大型銘柄」は理にかなっているのか ―
これは「地震の本」じゃない
この本を読んで、最初に浮かんだ感想はこれだった。
**「これは地震の話じゃないな」**と。
正確に言うと、
地震・津波・金融危機といった出来事そのものではなく、
非常時に人間と市場がどう壊れるかを描いた本だ。
そして読み進めるうちに気づいた。
この視点が、自分が実践してきた
**「大暴落時に逆張りで大型株を拾う」**という投資と、
驚くほど重なっていることに。
ただし――
ここで一つ、先に釘を刺しておく。
この本は
「逆張り大型が万能だ」と言っているわけでも、
自分の投資が正解だと保証してくれる本でもない。
むしろ、
どんなときに機能し、どんなときに壊れるか
その輪郭をはっきりさせてくれる本だった。
「イベントX」が起きた瞬間、市場はどうなるか
本書では、
地震・金融危機・大規模災害などをまとめて
**「イベントX」**と呼んでいる。
イベントXの共通点はシンプルだ。
👉 誰も冷静でいられなくなる
株価は、
被害の大きさそのもので下がるわけじゃない。
- 恐怖
- 不安
- 分からなさ
この3つが同時に噴き出し、
必要以上の売りが起きる。
そして真っ先に売られるのは、
- 流動性が高い
- 誰もが知っている
- 指数に組み込まれている
つまり 大型株 だ。
ここで重要なのは、
「売られる」ことと
「壊れている」ことは
イコールではない、という点だ。
なぜ逆張りは「大型」でなければならないのか
イベント直後、
大型株は真っ先に叩き売られる。
理由は単純。
売りやすいからだ。
だが、ここで多くの投資家が混同する。
❌ 売られている=終わった
⭕ 売られている=誤解されている可能性がある
ただし、
ここははっきり言っておく必要がある。
👉 大型なら何でも助かるわけじゃない。
- 負債が重すぎる
- 構造的に衰退している
- キャッシュが回らない
こうした企業は、
大型でも普通に死ぬ。
だから自分が拾う条件は、
「大型だから」では足りない。
- 営業キャッシュフローが平時で回っているか
- 一時停止しても事業再開できるか
- 代替されにくいポジションにいるか
壊れていないことを、数字で確認できるか。
逆張り大型とは、
❌ 災害に強い企業を当てにいく投資
⭕ 災害で誤解され、過剰に売られた企業を拾う投資
この定義に変わった。
「復興需要で上がる」という言葉への違和感
本書が一貫して距離を取っているのが、
いわゆる 「復興需要銘柄」 という発想だ。
「地震が起きた
→ 復興が始まる
→ この株が上がる」
一見もっともらしい。
だが現実はそう単純じゃない。
需要が生まれることと、
- 利益になるか
- 価格転嫁できるか
- 株価に反映されるか
これは全部、別の話だ。
むしろイベントXの最中、
復興ストーリーはメディアと個人投資家が共犯で作る幻想になりやすい。
派手で
分かりやすくて
希望があるからだ。
だが実際に生き残るのは、
- 平常時から稼げている
- キャッシュが回る
- サプライチェーンに逃げ道がある
こうした地味な大型企業だったりする。
「売らない」という選択が、戦略になる瞬間
イベントXの最中、
投資家が一番取りがちな行動はこれだ。
👉 とりあえず売る
- パニック売り
- 過剰反応
- メディアによる恐怖の増幅
本書は何度も、
この連鎖を描いている。
だからこそ、
「業績が壊れていないなら売らない」
という行動自体が、
戦略になりうる。
ただし、
ここにも条件がある。
- キャッシュフローが止まっていないか
- 財務制限条項に引っかからないか
- 政府・金融システムが機能しているか
これらが崩れたら、
「売らない」はただの意地になる。
自分の
「2倍になるまで売らない」というルールも、
無条件ではない。
壊れたら切る。
壊れていないなら耐える。
それだけだ。
逆張り大型は「防災投資」だ
この本を読み終えて、
逆張り大型銘柄の位置づけがはっきりした。
これは、
当てにいく投資でも
派手な投資でもない。
予測を捨て、
生き残る確率を上げる投資だ。
未来は分からない。
だが、混乱の中でも
立ち上がれる企業の条件は、だいたい決まっている。
下で拾い
耐え
戻りを待つ。
『大地震と株式投資』は、
この行為が
「運」や「根性」ではなく、
構造に基づいた選択だと教えてくれる一冊だった。
そして同時に、
この戦略が
通用しない場面も必ずあることを、
静かに示している。
そこを忘れない限り、
逆張り大型は
投資であり、
一種の防災でもある 🏗️📊🔥
