目次
〜PBR0.48倍に沈む「倉庫という名の不動産会社」と、時間だけが味方する投資〜
※本銘柄の決算短信に基づく分析は、別途「企業サイト分析リポート」にて扱う。
🔔【重要な前提更新(2026/01/26)】
本レポートは2026年1月時点で作成された「企業存続分析リポート」であり、
当時は
・高い自己資本比率
・借入金の圧縮
・キャッシュの積み上がり
を前提に、**資産バスケット上位(A〜B境界)**として評価していた。
しかし直近の決算および企業サイト分析リポートでは、
・現預金の大幅減少
・長期借入金の再増加
・不動産投資ウエイトの上昇(金利上昇局面)
が確認され、
本銘柄の位置づけは
「資産バスケットBの下位(要監視)」へ引き下げて再評価している。
以下の本文は「当時の評価」を残したものであり、
現況判断は別途追記箇所を参照。
📌 このレポートの立ち位置
本レポートは「物流株としての成長」を語るものではない。
ココがポイント
狙いは明確👇
- PBR0.48倍まで放置されている理由を構造的に整理
- PBR1.0倍(解散価値)へ戻る最低条件を定義
- 業績成長を期待せず、資産と時間で勝つ
👉 清原式・不動産含み益型の典型銘柄
「短期で株価が動かないことに耐えられない投資家は対象外」
📋 事業概要:どんな会社なのか
丸八倉庫は1897年創業。
事業内容はシンプルで、
- 倉庫業(保管・物流)
- 不動産賃貸(自社倉庫・土地)
実態を一言で言うと「物流会社という皮をかぶった、地味な不動産会社」
派手さも成長ストーリーもないが、土地と建物は100年以上残っている
※補足(重要)
同社は創業100年超の倉庫会社であり、都内・湾岸部を中心に長期保有の土地・建物を多数保有している。
帳簿価額は取得原価ベースで計上されており、現在の地価・建築コストを考慮すれば、含み益の存在はほぼ確実と考えられる。(※正確な再評価額は非開示)
📊 財務分析(構造で見る)
PL:潰れないけど伸びもしない

① 売上高:成長企業ではないが、底は固い
| 年 | 売上高 |
|---|---|
| 2020 | 4,919 |
| 2021 | 4,823 ↓ |
| 2022 | 4,764 ↓ |
| 2023 | 4,972 ↑ |
| 2024 | 4,991 ↑ |
評価
- 2020→2022:じりじり縮小
- 2023→2024:回復して横ばい圏に復帰
👉 明確な結論
「成長はしていないが、需要は消えていない」
倉庫業+不動産の典型で、
- 景気拡大期:伸びない
- 景気後退期:急減しない
資産株としては理想的な売上の形
② 売上総利益:じわじわ削られている(重要)
| 年 | 売上総利益 |
|---|---|
| 2020 | 1,327 |
| 2021 | 1,297 ↓ |
| 2022 | 1,170 ↓ |
| 2023 | 1,159 ↓ |
| 2024 | 1,209 ↑ |
粗利率のイメージ
- 2020:約27%
- 2024:約24%台
評価
構造的に粗利率が低下
原因は明確👇
- 人件費
- 修繕費
- 光熱費
- 倉庫賃料の価格転嫁の遅さ
👉 インフレ耐性は弱い
ただし👇
2024年に下げ止まり → 反転
これは
👉 賃料改定
👉 コスト吸収が進んだ兆し
③ その他費用収益:ここが“PLのクセ”
| 年 | その他費用収益 |
|---|---|
| 2020 | 852 |
| 2021 | 791 ↓ |
| 2022 | 810 ↑ |
| 2023 | 747 ↓ |
| 2024 | 307 ↓↓↓ |
評価(かなり重要)
- 2024年だけ異常に小さい
- 理由は??
👉 一時益・補助金・雑収入が剥落
👉 or 一過性費用の消滅
👉 2024年は“PLが素直になった年”
これは👇
- 悪い意味ではない
- むしろ
👉 利益の質が改善した可能性
④ 税引前利益・純利益:2024年は“事件”
| 年 | 税引前利益 | 純利益 |
|---|---|---|
| 2020 | 700 | 474 |
| 2021 | 742 ↑ | 506 ↑ |
| 2022 | 531 ↓ | 360 ↓ |
| 2023 | 616 ↑ | 412 ↑ |
| 2024 | 1,325 ↑↑ | 902 ↑↑ |
純利益率
- 2020:9.6%
- 2021:10.5%
- 2022:7.6%
- 2023:8.3%
- 2024:18.1%
👉 ここが最大のポイント
⑤ 2024年は“本業が良くなった”のか?
結論から言う👇
NO(全面的ではない)
理由👇
- 売上はほぼ横ばい
- 粗利も微回復止まり
- それなのに
👉 純利益が2倍超
つまり👇
営業外・特別要因の寄与が大きい
考えられる中身:
- 不動産関連益
- 減価償却負担の軽減
- 金融収益
- 一過性要因
👉 再現性は低い
BS:PBR0.48倍が示す“市場の無関心”

① 総資産の質:これは「倉庫業という名の不動産会社」
| 項目 | 2020 | 2024 |
|---|---|---|
| 総資産 | 16,997 | 18,832 |
| 有形固定資産 | 13,176 | 13,454 |
| 比率 | 77.5% | 71.4% |
評価
総資産の7割以上が有形固定資産
中身はほぼ👇
👉 倉庫
👉 物流施設
👉 土地
👉 事業=不動産そのもの
これは👇
- 減価償却でPLは地味
- だが
👉 清算価値はPLよりはるかに大きい
PBRが低くなる“構造的理由”でもある
② 現預金:2024年に異常値
| 年 | 現預金 |
|---|---|
| 2022 | 932 |
| 2023 | 1,064 |
| 2024 | 2,196 |
評価
1年で**+1,132百万円**
これは👇
👉 2024年の純利益902百万円
👉 借入返済一巡
👉 大型投資なし
が重なった結果。
👉 キャッシュ創出力が一気に可視化された年
※追記(2026/01時点)
2024年の現預金急増は一時的であり、
2025年には
・賃貸マンション2棟の取得
・長期借入金の増加
により、
現預金は約21.9億円 → 約7.2億円へ急減している。
その結果、
「キャッシュが積み上がる企業」から
「キャッシュを使って回す企業」へ性格が変化した
点には注意が必要。
③ 投資その他資産:地味だが超重要
| 年 | 投資等 |
|---|---|
| 2020 | 1,900 |
| 2024 | 2,686 |
評価
+786百万円増
中身は👇
👉 政策保有株
👉 関連会社株
👉 不動産関連
👉 含み益がPLに出ていない可能性が高い
ここが👇
PBR0.4倍の“本当の歪み”
④ 負債構造:当時は美しかったが、現在は再検証が必要
固定負債(=主に借入金)
| 年 | 固定負債 |
|---|---|
| 2021 | 5,466(ピーク) |
| 2024 | 3,554 |
👉 3年間で約▲1,900百万円
流動負債
| 年 | 流動負債 |
|---|---|
| 2020 | 2,571 |
| 2024 | 3,162 |
- こちらは微増
- 運転資金の範囲内
結論
👉 借金は明確に減っている
※追記(2026/01時点)
2025年以降、
長期借入金は
約35億円 → 約44億円へ再び増加しており、
デレバレッジ局面は終了した可能性が高い。
特に、
金利上昇局面で
不動産事業への投資比率を高めている点は、
財務安全性という観点では
明確なマイナス方向の変化と評価する。
⑤ 純資産:静かに、だが確実に積み上がる
| 年 | 純資産 |
|---|---|
| 2020 | 9,866 |
| 2024 | 12,117 |
- +2,251百万円
- 年平均 +560百万円
👉 内部留保で着実に太るタイプ
自己資本比率(概算)👇
- 2020:約58%
- 2024:約64%
👉 異常に高い
CF:清原式が許容する最低ライン

① 営業CF:文句なしの合格点
| 年 | 営業CF |
|---|---|
| 2020 | 954 |
| 2021 | 730 ↓ |
| 2022 | 1,026 ↑ |
| 2023 | 1,146 ↑ |
| 2024 | 850 ↓ |
評価
- 5年連続プラス
- 平均:約940百万円
👉 本業は
「稼げない年がない」
2024年の減少理由👇
- 純利益は急増したが
- 運転資金の増減
- 一時的要因
が出た可能性
👉 質が悪化したわけではない
② 投資CF:2024年は“異常値(良い意味)”
| 年 | 投資CF |
|---|---|
| 2020 | -1,530 |
| 2021 | -2,016 |
| 2022 | -648 |
| 2023 | -166 |
| 2024 | +1,150 |
ここが最大の注目点
通常👇
- 倉庫・不動産業
- 投資CFはマイナスが当たり前(設備・土地)
しかし👇
2024年は +1,150
意味するのは👇
- 不動産売却
- 有価証券売却
- 投資回収フェーズ突入
👉 資産を「現金化」した年
※追記
2024年は資産回収フェーズと評価したが、
その後の2025年に
・不動産取得
・借入金増加
が確認されたため、
長期的な資産圧縮・還元フェーズに入ったとは言い切れない。
一時的な回収 → 再投資という
循環型モデルへ移行した可能性を考慮する必要がある。
これは👇
- BSの現預金急増
- 固定資産の減少
と完全に一致。
③ 財務CF:ここが“企業の人格”
| 年 | 財務CF |
|---|---|
| 2020 | +670 |
| 2021 | +934 |
| 2022 | -494 |
| 2023 | -848 |
| 2024 | -868 |
評価
- 前半:借りていた
- 後半:返している
👉 明確な
デレバレッジ(借金圧縮)
- 株主還元で無理をしていない
- レバレッジもかけない
👉 極端に保守的
④ 現預金の増減:すべて説明がつく
| 年 | 現預金増減 |
|---|---|
| 2021 | -352 |
| 2022 | -116 |
| 2023 | +131 |
| 2024 | +1,132 |
2024年の式👇
- 営業CF:+850
- 投資CF:+1,150
- 財務CF:-868
👉 +1,132
👉 完璧に整合。
🧩 セグメント・構造分析
丸八倉庫は実質二層構造。
- 倉庫事業
👉 キャッシュ創出・稼働維持 - 不動産(土地・建物)
👉 PBRを下支えする“本体価値”
市場は前者しか見ていない。
👉 後者(資産価値)は完全に無視されている
💡 なぜPBR0.48倍なのか(辛口)
理由は明確。
- 成長しない
- ROEが低い
- 株主還元が弱い
- 経営から「株価を上げる意思」が見えない
👉 「正しい評価」ではなく「無関心」
💡 評価が変わる“最低条件”
夢の話はしない。
シナリオ①【インフレ×不動産再評価】⭐ 最有力
- インフレ定着
- 倉庫・土地の再評価
👉 企業が何もしなくてもPBR是正が起こり得る
「これは“能動的材料”ではなく“環境圧力型の是正”」
※重要な留意点
現在は
・不動産取得による資金流出
・借入金増加
が進行しており、
インフレ=自動的なPBR是正
とはなりにくい局面に入っている。
資産再評価が起きる前に、
財務余力が削られるリスクも併せて監視が必要。
シナリオ②【株主還元の明確化】
- 配当性向引き上げ
- DOE導入
- 小規模な自社株買い
👉 これだけで、PBR0.7〜0.8倍は現実的
シナリオ③【物流テーマ再燃】
EC・医薬・冷凍物流
👉 期待はできるが、主因にはしない
🎯 結論
①だけでPBR0.7倍
②が出ればPBR1.0倍が見える
※注意点
PBR1.0倍は、あくまで「条件付きシナリオ」であり、自然回帰で到達する水準ではない。
実現には、
・明確な還元方針の転換
・資産の顕在化(売却・再評価)
・外部環境(インフレ・不動産評価)の後押し
が同時に重なる必要がある。
📈 最新バリュエーション(2026/01/14)
- 株価:1,055円
- 時価総額:77億円
- PER:14.2倍
- PBR:0.49倍
- 配当利回り:2.46%
- 信用倍率:対象外(需給は極めて軽い)
👉 上がらない理由は「割安ではない」からではなく、「注目されていない」から
🛡️ 清原式・最終投資戦略
🎯 狙うのはここだけ
週足のDBの最下点900円にアラート設定で周辺にくれば仕込む
| 価格帯 | 意味 |
|---|---|
| PBR0.5倍割れ | 先遣隊 |
| PBR0.45倍 | 主力 |
| 市場急落時 | 最大仕込み |
👉 上値追いは一切しない
👉 歪みが最大化した時だけ買う
900円水準は、PBRが0.45倍前後まで低下するゾーンであり、不動産含み益・財務安全性を考慮すると、「解散価値からの乖離」が最大化する水準と考える。
テクニカルはあくまで補助であり、本質はPBR0.5倍割れという歪みの深さにある。
🚪 出口戦略
第一出口(是正ライン)
- PBR0.7倍
- 株価目安:1,500円前後
👉 ここで半分以上は利確
第二出口(事件発生時)
- PBR1.0倍
- 株価目安:2,100円前後
- 条件:
還元強化
自社株買い
資産の顕在化
👉 材料確認後、全利確
🏁 最終結論
🔄【現況アップデート】
本銘柄は現在、
・資産バスケットA:❌
・資産バスケットB:⭕(下位・要監視)
という位置づけが妥当。
「時間を味方にできる銘柄」である点は変わらないが、
無条件で放置できる状態ではなく、
・借入金の推移
・不動産投資の収益性
・現預金水準
を定点観測する
アラート管理銘柄へ格下げする。
丸八倉庫は、
- 成長しない
- 期待もされていない
- 人気もない
だが、
- PBR0.48倍
- 土地は逃げない
- 会社は潰れない
だからこそ👇
「時間を味方にできる投資家だけが触れる銘柄」
毎四半期で答えを求める投資家にとっては、何も起きない“退屈な罠”に見えるだろう。
PBR0.48倍は異常。
PBR1.0倍は**“何か起きれば”現実的**。
清原式の鉄則通り、歪みだけを拾い、是正された分だけ取る。
