2024年、金市場は予想を超える勢いで上昇しています。今年の初めから22%の価格上昇を見せ、SP 500を上回るパフォーマンスを記録。
この背景には、中央銀行による大量購入や利下げ期待、そして地政学的リスクが絡んでいます。
これまで金は、金利サイクルに依存する資産と見られてきましたが、今年の動向はそれが過去のものになりつつあることを示しています。
この記事では、金の価格が持続力を持つ理由と今後の展望について掘り下げていきます。
2024年のゴールドラッシュ:持続する理由と今後の展望
1. 金市場の急騰とその背景
2024年の金市場は、多くの投資家にとって驚きをもたらしました。
金価格は年初から22%上昇し、トロイオンスあたり2,500ドルを超える水準に達しています。
これにより、金は米国の主要株価指数であるSP500を大きく上回るパフォーマンスを見せました。
この急騰の背景には、いくつかの要因が絡んでいます。
まず注目すべきは、中央銀行による大規模な金の購入です。
↓国別ゴールドの保有量と保管場所を表した表です。
Those that say that Milei has taken the central bank gold from Argentina are lying.
✅ These are reserves invested and held in central bank accounts offshore, a completely normal practice throughout the world.
❌In the central bank, these reserves do not generate… pic.twitter.com/qg1VMSAs3D— Daniel Lacalle (@dlacalle_IA) August 29, 2024
ワールドゴールドカウンセルによると、今年上半期だけで中央銀行は合計483トンもの金を購入しました。
これはワールドゴールドカウンセルがデータ収集を開始して以来、最も多い量です。
さらに、この大規模な購入は、ロシア・ウクライナ危機による影響が大きいと考えられています。
2022年に発生したロシア中央銀行資産の凍結により、いくつかの新興国がドルからの脱却を目指す動きを強めています。
こうした動きが、金の需要を押し上げているのです。
2. 利下げ期待と金市場の連動性
通常、金は金利が低いときに好まれる投資とされています。
その理由は、金利が低いと他の資産クラスのリターンが低下し、金の保有コストが相対的に低くなるからです。
しかし、2024年の金市場では、この伝統的な連動性が薄れつつあります。
米国経済が予想外の強さを見せ、FRBが期待されていた利下げを延期したにもかかわらず、金価格は上昇を続けました。
これは、金利が高止まりしているにもかかわらず、金市場に構造的な需要が存在していることを示しています。
その一つが、中央銀行による購入であり、もう一つが個人投資家やファンドによる金のポートフォリオへの組み入れです。
特に、金を裏付けとしたETF(上場投資信託)への資金流入が続いていることが注目されます。
5月以降、ETFへの資金流入が再開され、7月には37億ドルが流入しました。
これはサイクル的な要因が強いものの、すぐに反転する兆しは見られません。
3. 地政学的リスクと金の需要
もう一つの重要な要因は、地政学的リスクです。
2022年のロシア・ウクライナ危機は、金市場にとって大きな転機となりました。
ロシアの中央銀行資産が凍結されたことで、他の新興国が同様のリスクを懸念し、資産を金にシフトする動きが加速しています。
これは、金が安全資産としての役割を再確認させる要因となっています。
また、今後の市場ボラティリティや地政学的リスクの高まりが、金市場の需要をさらに押し上げる可能性があります。
株式市場の激しい変動が、金の魅力を再認識させ、資金が金市場に流れ込むことが予想されます。
このように、金は今後も安定した需要を維持する見込みが高いのです。
4. 今後のリスクと展望
もちろん、金市場にはリスクも存在します。
たとえば、株式市場のラリーの加速や、高金利の長期化、そして地政学的リスクの低下などが、金の需要を減少させる要因となり得ます。
しかし、現時点では、これらのリスクが現実のものとなる可能性は低く、金市場は依然として強気の見通しが維持されています。
また、中央銀行の大規模な購入や、ETFへの資金流入が続く限り、金の需要は安定して推移するでしょう。
「2024年のゴールドラッシュは一時的なものではなく、持続力を持つ」
という見方が主流になりつつあります。
まとめ
2024年の金市場は、中央銀行による大量購入、利下げ期待、地政学的リスクの高まりという複数の要因に支えられ、今後も強い需要が続く見込みです。
伝統的な金利サイクルに依存しない金の新たな役割が浮き彫りになっており、これが金市場の持続的な成長を支えています。
市場のボラティリティや地政学的リスクが今後も続く限り、金は投資家にとって魅力的な資産であり続けるでしょう。
一方で、株式市場や金利の動向には引き続き注視が必要です。
今後も金市場の動向を見逃さず、投資戦略を柔軟に調整することが求められます。
2024年は、まさに「ゴールドラッシュの年」といえるでしょう。