米国で急速に増加しているゴーストガン(3Dプリント銃など)が市場にどのような影響を与えるのか。
特に、これらの武器が犯罪に利用されるケースが2017年から1000%以上も増加しているという驚くべきデータが、司法省の報告書で明らかになりました。
この増加が一部の企業にとって、株価を押し上げる要因となる可能性はあるのか、深掘りしてみます。
目次
ゴーストガンの脅威と企業への影響:株価はどう動くのか?
ゴーストガンの急増と社会的リスク
アメリカ司法省のATF(アルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局)によると、ゴーストガンの使用は過去数年間で劇的に増加しています。
特に、警察からATFに送られたゴーストガンの追跡依頼が2017年の1,629件から2021年には19,273件にまで急増したという事実は、これが単なる一時的な現象ではなく、深刻な社会問題であることを示しています。
さらに、昨年施行された新しい連邦規則では、自作銃組み立てキットにシリアルナンバーの記載を義務付けるなど、規制強化が進んでいますが、依然として追跡が難しいゴーストガンは、市場における脅威であり続けています。
ゴーストガンの3つの脅威:
- 追跡が難しい:
シリアルナンバーがないため警察がどこから来たのかを追跡できない。 - 規制を逃れやすい:
法律で銃を持てない人でも簡単に作ったり手に入れたりできる可能性。 - 急増する数:安価で誰でも作れるので急増してる。
実際に起きたゴーストガンの事件:
ニューヨークで5人の容疑者が起訴され、86丁の銃器(うち55丁がゴーストガン)が押収されました。容疑者らは地元の遊び場やショッピングモールで銃を販売していたとされています。
こんな感じの事件は、今後も多発する危険性があると思いませんか?
株価への影響は?
ゴーストガンの急増は、いくつかの企業にとって株価に直接的な影響を与える可能性があります。
特に、セキュリティ関連企業や法執行機関向けのテクノロジー企業に注目が集まっており、それらの企業の株価が上昇する可能性が考えられます。
一方で、3Dプリンタの製造企業やゴーストガン関連部品の販売業者は、規制強化の影響で株価が下落するリスクがあります。
以下に、具体的な企業名とその根拠を示します。
セキュリティ関連企業の株価上昇の可能性
まず、セキュリティ関連企業として注目されるのがAxon Enterprise, Inc.(AXON)です。
AxonはボディカメラやTASERなど、法執行機関向けの技術ソリューションを提供しており、米国内での犯罪増加に対応するため、需要が高まる可能性があります。
実際に、同社は近年、政府からの大規模な契約を獲得しており、その結果、株価が顕著に上昇しています。
また、銃器規制強化のためのソリューションを提供するShotSpotter, Inc.(SSTI)も注目に値します。
ShotSpotterは銃撃検知技術を提供しており、都市部での銃犯罪の増加に伴い、その技術の需要が急増しています。
近年、米国内の都市での導入が拡大しており、これが同社の株価を押し上げる要因となっています。
3Dプリンタ製造企業へのリスク
一方で、規制強化によって影響を受ける可能性がある企業としては、Stratasys Ltd.(SSYS)が挙げられます。
Stratasysは3Dプリンタの大手メーカーであり、その製品がゴーストガンの製造に使用される可能性があります。
これにより、政府規制の強化が同社の製品販売に悪影響を及ぼし、株価の下落リスクが高まる可能性があります。
さらに、ゴーストガン関連部品の販売を手掛ける企業としては、Polymer80, Inc.ウィキペディア(英語)が挙げられます。
Polymer80は自作銃組み立てキットを販売しており、これが政府の規制強化の対象となっています。
同社は上場企業ではありませんが、規制強化によってその市場シェアが大きく削られる可能性があり、業界全体への影響が懸念されています。
ゴーストガンを作れる3Dプリンターの価格
ゴーストガンを作るために使用される3Dプリンターは、主にエントリーモデルからミドルレンジモデルの価格帯に位置しています。以下に、具体的な価格帯とその特徴を示します。
1. エントリーモデル ($200〜$500 / 約30,000円〜75,000円)
この価格帯の3Dプリンターは、個人がゴーストガンを作る際に最も利用されるタイプです。
2. ミドルレンジモデル ($500〜$2,000 / 約75,000円〜300,000円)
ミドルレンジの3Dプリンターは、より高品質で精度の高い部品を製造することが可能です。
価格破壊の影響
3Dプリンターの価格破壊が進行することで、ゴーストガンの製作がさらに容易になるという懸念があります。
これが以下のような市場変動を引き起こす可能性があります。
- 市場の拡大と競争激化:
3Dプリンターの価格が低下することで、市場全体の拡大が期待されます。安価な3Dプリンターが広く普及することで、競争が激化し、既存の大手メーカーは価格競争に直面します。これにより、特定の企業の利益率が低下し、株価にネガティブな影響を及ぼす可能性があります。 - 規制強化による影響:
価格破壊が進む中で、政府が3Dプリンターに対する規制を強化する可能性があります。特に、ゴーストガンの脅威が高まると、規制強化は避けられないでしょう。このような規制が実施されると、特に低価格帯の3Dプリンターを提供する企業にとっては、事業環境が厳しくなり、株価が影響を受ける可能性があります。
ゴーストガンは普通の拳銃の弾丸が使える仕様と特別仕様の弾丸タイプの2種類あります。
まとめ:ゴーストガンの影響と企業の行方
ゴーストガンの急増は、米国社会に大きな影響を与え続けていますが、それに伴う規制強化やセキュリティ対策の需要増加が、一部企業の株価にポジティブな影響を与える可能性があります。
今後、AxonやShotSpotterのようなセキュリティ関連企業がどのように市場での地位を固めるか、また3Dプリンターを作るStratasysやゴーストガン関連部品の販売をするPolymer80のような企業が規制対応にどう対応するか、投資家にとって重要な注目点です。
個人的には全米ライフル協会のゴーストガンに対する見解とゴーストガンによるハイジャックなどの事件が気になります。
ゴーストガン関連で気になる情報があればアップデートします!