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台湾の金準備高が国家通貨を支える理由とは?中央銀行の戦略を徹底解説

ゲオルグです!

今日は台湾の中央銀行がどのようにして国家通貨の価値を守っているかについてお話しします。

実は、台湾は約422トンもの金を保有しており、それが新台湾ドル(台湾の法定通貨、略称: TWD)の価値を支える重要な役割を果たしているのです。

この金準備の詳細やその歴史的背景、また中国との関係や未来に向けた中央銀行の戦略について深掘りしていきましょう。

 

台湾の金準備が国家通貨を支える理由と中央銀行の戦略

台湾の金準備高とその役割

台湾は現在、約422トンの金を中央銀行の保有資産として確保しており、そのうち410トンが新台湾ドルの発行を支えるための資産として利用されています。

残りの金準備は、4年ごとに行われる新総統および副総統の就任式で鋳造される記念金貨に使用されます。

Source: Central Mint of China (CMC) official website

この金貨は、国家の誇りを象徴する重要なアイテムであり、台湾の歴史と文化を世界に示すものでもあります。

 

世界的な金保有ランキングと台湾の位置

Screenshot

2024年第1四半期におけるワールドゴールドカウンシルのランキングによれば、台湾は14位に位置しています。

アメリカが8,133トン、ドイツが3,355トン、イタリアが2,451トンと上位にランクインしており、台湾の422トンはそれらと比較するとまだ小規模です。

しかし、この量はオーストラリアやシンガポールなどの国々と比較しても相当なものであり、台湾の国際的な経済的信頼性を高めています。

また、過去10年間で台湾の金保有量は安定しており、その間にランクの変動はほとんどありませんでした。

 

金価格の推移と含み益

1970年代に台湾が購入した金は、当時1オンスあたり400米ドル未満でしたが、現在では2,450米ドルを超えています。

この価格変動により、台湾の中央銀行が保有する金の含み益は9,000億台湾ドル(約4兆5,000億円)に達しています。

この図は、金価格の過去50年間の推移を示すグラフで視覚的に確認することができます。

1970年代には1オンスあたり400米ドル未満であった金の価格が、現在では2,500米ドルを超えています。

グラフ上の緑点と赤点で、それぞれ1970年と2024年の価格を強調しています。この変動により、台湾の中央銀行が保有する金の含み益が9,000億台湾ドルに達していることが視覚的に確認できます。

 

Georg
台湾はマジでいい時にゴールド買いましたね。

 

これにより、台湾が長期的に安定した財政を維持できる背景が理解できます。

 

金の保管場所とセキュリティ対策

台湾の金準備高は、その大部分が国内外の安全な保管施設に保管されています。

例えば、アメリカのフォートノックスやイギリスのロンドン金庫など、世界的に信頼されている場所と同様に、厳重なセキュリティ対策が講じられています。

台湾もこれらの基準に倣い、国家安全保障の一環として金の保管場所を公開していません

これにより、外部からの脅威に対して万全の備えがなされています。

ちなみにアルゼンチンはイギリスに金を保管しています。

 

中国との関係と台湾の戦略的な位置づけ

ご承知のとおり、台湾と中国の関係は複雑であり、経済的・政治的な緊張が継続しています。

台湾が金準備高を積極的に保有し続ける背景には、中国からの潜在的な脅威に対する備えが含まれています。

中国は台湾を自国の一部と見なしており、軍事的圧力や国際的な孤立を図る動きを続けています。

2024年8月現在、中国の金保有量は約2,133トンで、台湾の金保有量約422トンの約5倍に相当します。

しかし、国力と国土の大きさを考慮すると、台湾は自国の経済的自立性を維持するために、金という普遍的な価値を持つ資産を戦略的に確保しています

この戦略は具体的に以下の効果を狙っています:

  1. 中国との経済的な依存度の低減
  2. 国際金融市場における信用力の向上
  3. 急激な為替変動や経済制裁に対する緩衝材の確保
  4. 国際社会における台湾の存在感の強化

例えば、台湾は金準備高を活用して国際的な金融取引や貿易決済の保証とし、中国に依存しない独自の経済圏の構築を目指しています。

 

また、有事の際には金を担保に国際的な支援を求める可能性も考慮されています。

このように、台湾の金準備高戦略は、単なる資産保有を超えて、国家の安全保障と国際的地位の確保に直結する重要な政策となっています。

 

まとめ

台湾中央銀行の金準備高は、国家の経済的安定性と通貨価値を守るための強固な基盤となっています。

世界的な金準備高ランキング14位という位置付けは、台湾の国力を示す一方で、さらなる経済成長の余地があることも意味します。

加えて、対中国政策としても台湾の金準備高戦略は安全保障と国際的地位の確保に直結する重要な政策となっています

 

参考記事:Taiwan's gold reserve supports value of national currency